5~6月に出回る山椒の実(実山椒)は、収穫後できるだけ早く下処理するのがおすすめです。塩ゆでしておけば冷凍で約6ヵ月保存可能。さらに薬味や料理にも使いやすい塩漬けや醤油漬けも冷凍できるんです。詳しい下処理の方法から正しい保存方法までを料理研究家の吉田瑞子先生に教えてもらいました。
【実山椒の下処理】小枝を除き、たっぷりの湯で色よくゆでる
実山椒は収穫されてから時間が経つと色や風味が悪くなるため、収穫後はできるだけ早く下処理をします。収穫された時期や鮮度によってかたさやえぐみが異なるので、実際に触ったり食べたりしながら、ゆで加減やアク抜きの時間を調整しましょう。
【準備するもの】
- 実山椒…100g
- 塩…小さじ1
- 水…1L
- 大きめの鍋(容量2~3Lのもの)
- ざる
- ボウル
1 小枝を取り除き、水洗いする
はさみや手でちぎって小枝を取り除き、水を2~3回替えながら洗ってほこりや汚れを落とす。
POINT
食感が悪くなるため、かたい小枝は取り除く。やわらかい軸はそのまま残しても良い。
2 熱湯に塩と実山椒を加え、約8分ゆでる
鍋に水1Lを入れて沸騰させ、塩小さじ1を加える。小枝を取って水洗いした実山椒を加え、再び沸騰させてから中火で約8分、指で押し潰せるくらいのかたさになるまでゆでる。
POINT
実山椒は収穫のタイミングの違いでかたさにバラつきがあるので、こまめにかたさを確かめながらゆでる。写真のように指で潰すと皮が破れるくらいが目安。
3 ざるにあげ、水にさらしてアクを抜く
30分~1時間程度、水にさらしてアク抜きする。その際、途中で水を1~2回替える。食べてみて、えぐみや辛みが強ければ水にさらす時間をのばす(約10分ごとに味を確認する)。えぐみが程よく抜け、好みの辛さになったらざるにあげて水気をよく切っておく。
【実山椒の保存①】下処理後に冷凍しておけばすぐに使える!
用途が決まっていないときは、下処理後にまとめて冷凍しておきましょう。塩漬けや醤油漬けはもちろん、辛味を加える薬味や、ぬか床に加えるなどさまざまな使い方ができます。
【冷凍方法】
下処理した実山椒は、キッチンペーパーで水気をよく取ってから冷凍用保存袋に入れる。平らにならしてストローなどでなるべく空気を抜いてから袋の口を閉じ、金属製のバットにのせて急速冷凍する(冷凍で約6ヵ月保存可能)。消毒した厚手の保存瓶や冷凍用保存容器に入れて冷凍しても良い。
【解凍方法/食べ方】
必要な分だけ取り出し、冷蔵庫で自然解凍する。すぐに解凍されるので凍ったまま使用しても良い。薬味として辛味付けにしたり、ぬか床に加えたりして使う。魚と一緒に煮込む「有馬煮」などもおすすめ。
【実山椒の保存②】塩漬け・醤油漬けも冷凍できる! 減塩もOK
塩漬け、醤油漬けにすると、ピリリとした辛味に熟成された旨みが加わり、ごはんやお酒のおともとして、また料理のアクセントとして大活躍。冷凍を前提にすれば、保存性が高まるため市販のものより減塩することも可能です。美味しい減塩レシピを吉田先生に教えてもらいました。
※冷凍した実山椒で塩漬けや醤油漬けを作ることもできますが、その場合再冷凍はできません。
【塩漬けの作り方】
下処理した実山椒は、キッチンペーパーで水気をよく取ってから消毒した厚手の保存瓶や冷凍用保存容器に入れる。冷凍した実山椒は、冷蔵庫で自然解凍しキッチンペーパーで水気をよく取ってから使う。実山椒の重量の10%の粗塩(実山椒100gに対して粗塩10g)を入れてふたをする。直射日光のあたらない涼しい場所に1~2日(冬は1週間)程度おき、塩が溶けるまで毎日瓶をふる。さらに冷蔵庫で10日間熟成させ、その後は冷蔵庫か冷凍庫で保存する(冷蔵で約1ヵ月、冷凍で約6ヵ月保存可能)。
【醤油漬けの作り方】
酒50mlを鍋で沸騰させて煮切り、醤油50mlを加えて再び沸騰させたらそのまま冷まして調味液を作る。下処理した実山椒は、キッチンペーパーで水気をよく取ってから消毒した厚手の保存瓶や冷凍用保存容器に入れる。冷凍した実山椒は、冷蔵庫で自然解凍しキッチンペーパーで水気をよく取ってから使う。冷ました調味液を実山椒が完全に隠れるまで注ぐ(足りない場合は酒:醤油=1:1で同様に調味液を作り追加する)。直射日光のあたらない涼しい場所に1~2日(冬は1週間)程度おき、毎日瓶を返して味をなじませる。さらに冷蔵庫で10日間熟成させ、その後は冷蔵庫か冷凍庫で保存(冷蔵で約1ヵ月、冷凍で約6ヵ月保存可能)する。
【塩漬け・醤油漬けの食べ方】
必ず清潔なスプーンや箸を使って取り出す。冷凍した場合は瓶ごと冷蔵庫で自然解凍するか、凍ったまま使用。塩漬けは通常塩抜きが必要だが、減塩レシピならそのまま食べられる。ごはんやお酒のおともに、またおにぎりや混ぜごはんの具、ドレッシングや和え物のアクセントにと幅広く使える。