「土用の丑の日」といえば、うなぎ!この日ばかりは、少し奮発してうなぎを食べる!というご家庭も多いのではないでしょうか。
そもそも土用の丑の日とは、どのような日なのかご存じですか。土用の丑の日には謎が多く、詳しいことを知らずにうなぎを食べている方は多いと思います。
そこで今回は、大正5年創業の老舗うなぎ屋・小松屋の専務取締役、柳生剛(やぎゅう ごう)さんに「うなぎにまつわるトリビア」を教えていただきました!
1.土用の丑の日は年に複数回ある!?
そもそも、「土用の丑の日」がどんな日なのか。言葉の意味を「土用」と「丑の日」という言葉に分けて見ていきましょう。
<土用>
立春・立夏・立秋・立冬、それぞれの前18日間のこと。
<丑の日>
昔は十二支を“日”に当てはめ「子の日」「丑の日」などと呼んでいました。12日周期で特定の干支の日が回ってくるのです。
つまり、「土用の丑の日」とは“土用の期間にある丑の日”を指し、年に数回あります。ちなみに、2017年の土用丑の日は以下の通り。
冬…1月26日(木)
春…4月20日(木)、5月2日(火)
夏…7月25日(火)、8月6日(日)
秋…10月29日(日)
夏バテ解消に効果的な食材として、うなぎが挙げられていることから、土用の丑の日は夏の1日だけだと思われがちですが、土用は季節の変わり目で、気候の変化により体調を崩しやすい時期。うなぎを食べてスタミナをしっかりと補給し、元気に乗り越えましょう!
2.江戸時代の蘭学者、平賀源内はコピーライティングの天才だった!
土用の丑の日の意味に続いて、土用の丑の日の由来にまつわるトリビアをご紹介します。
諸説ありますが、有力なのは「平賀源内が考案した」という説。平賀源内は江戸時代を代表する蘭学者で、学問だけにとどまらず、陶芸家や画家としての顔を持つ多彩な人だったと言われています。
ある日、うなぎ屋の店主に商売繁盛をするための方法を相談された平賀源内は「土用の丑の日に『う』から始まる食べ物を食べると夏負けしない」という言い伝えを利用して、
「本日は土用の丑、鰻食うべし」
という看板を店頭に出してみたらどうかとアドバイスしたそうです。店主が言われた通りにしてみると、お店は大繁盛したとか。平賀源内は学問に長けているだけでなく、優秀なコピーライターでもあったのです。
3.うなぎは生では食べられない!?
みなさんは、うなぎの刺身を食べたことはありますか?おそらく、火の通ったものしか食べたことがない方がほとんどなのではないでしょうか。
それもそのはず。実は、うなぎは生では食べられません。正確には、手間をかけて処理すれば生でも食べられるのですが、限られたお店などでしかお目にかかることはできません。
なぜ生で食べられないのかというと、うなぎの血液には有害な物質(イクシオトキシン)が含まれ、適切な処理をせずに食べるとお腹を下してしまうからです。また、うなぎをさばくときにも注意が必要です。血液が目に入ってしまうと半日は目が開けられなくなってしまうため、料理人の方も、細心の注意を払いながら、うなぎをさばいているそうです。
4.「うなぎと梅干しは食べ合わせが悪い」は、贅沢防止のために生まれた迷信!?
「うなぎと梅干しは食べ合わせが悪い」
そんなことを、おじいちゃん、おばあちゃんやご両親から言われませんでしたか?実はこの言い伝え、医学的な根拠は認められていません。
理由は諸説ありますが、梅干しのさっぱりとした後味が食欲を増進させ、高級食材のうなぎをたくさん食べてしまうことを戒める狙いがあったという説が有力とされています。
実際には、うなぎの旨みと梅干の酸味がマッチして一層おいしく、うなぎが食べられるので、ぜひみなさんも試してみてください!
5.うなぎを食べれば、マラソンで速く走れる!?
次に紹介するトリビアは、「うなぎを食べればマラソンで速く走れる(可能性が高まる)」ということ。
42.195kmを走るマラソンでは、体内にある糖質を効率的にエネルギーに変えることが求められます。その働きを助けるのが、うなぎに多く含まれるビタミンB1です。
そのため、うなぎはマラソン大会前夜に食べるとよいスタミナ食として、マラソンランナーによく知られています。この記事を監修してくださった小松屋の柳生 剛さんもマラソンの大会前日にうなぎを食べ、市民ランナーにとって大きな目標であるサブスリー(フルマラソンを3時間以内で走ること)を達成したそうです。
なお柳生さんは、うなぎと一緒に奈良漬をよく食べるのだとか。奈良漬にはうなぎの脂分をほどよく抑えるペプチドなどの成分が含まれており、うなぎに含まれるビタミンやミネラルの吸収を助ける働きがあるそうです。
マラソンに限らず、持久力が必要なスポーツをする前日にはうなぎを食べてパワーをつけてはどうでしょうか?
6.元気の源は、うなぎの生命力にあり!
よく「うなぎを食べると元気が出る」と言われますよね。うなぎには疲労回復に効果的なビタミンB1が多く含まれているため、食べると実際に元気になることが多いのですが、うなぎ自身もほかの魚と比べて生命力がかなり強く、1週間餌を与えなくても元気に生き続けるそうです。
「うなぎを食べると元気が出る」と言われるのは、その栄養素だけではなく、うなぎが本来持っているこの生命力のおかげでもあるのかもしれませんね。
まとめ
土用の丑の日にちなんで、うなぎにまつわるトリビアをご紹介しましたが、いかがでしたか?うなぎは、昔から日本人に愛されてきた、少し贅沢な食材。ご家庭でうなぎを食べるときに、今回のトリビアを話題にいつもよりちょっぴり楽しい土用の丑の日を楽しんでください!