いつか買いたい曲げわっぱ。使い勝手は実際どうなの? 長く愛される秘密をプロが解説

2018.4.17
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曲げわっぱ弁当のイメージ

曲げわっぱに詰めたお弁当って、とても美味しそう! 憧れはあるけれど、高価だしお手入れも大変そうで、なかなか手が出ないもの。そこで、実際に20年以上曲げわっぱを使いこなしている人のリアルな話を聞いてみました!

曲げわっぱには、合理的で実用的な長所がたくさん!

話をする野上優佳子さん

お話を伺ったのは、料理家・弁当コンサルタントの野上優佳子さん。曲げわっぱとの出会いは、20年前にさかのぼります。
「学生時代の民俗学の授業で曲げわっぱに興味を持ち、デパートの物産展で買ったのが最初です。曲げわっぱは、『曲げもの』の方言なんです。曲げものはヒノキや杉などの薄い板に熱を加えて曲げ、桜の皮で閉じ合わせて底板をはめこんだ容器の総称。一つひとつ手作りするのでお弁当箱としては高価。お手入れにも手間がかかるイメージがあるので、『時間とお金に余裕がある人が使うもの』と思われがちですが、それは逆。先人の知恵が詰まった、合理的で便利なアイテムなんです。20年前に買った曲げわっぱは、私が愛用したあとは子供たちが使っていて、いまだ現役。1万円近くしましたが、すっかり減価償却できています!」

使っている人だからこそ分かる【曲げわっぱ3つの魅力】

【魅力1】 とにかくごはんが美味しくなる!

曲げわっぱにごはんを詰めているところ

おひつと同様の機能を持つ曲げわっぱ。だから、ごはんが冷めても美味しいんです。木のぬくもりがあるから冷めても冷たくなりすぎず、ふわっとほどよい食感がキープされます。これは「体験してみないとわからない、絶妙な美味しさ」だと野上さん。

【魅力2】 おかずが少なくても、素敵に見える

曲げわっぱにおかずを詰めているところ

曲げわっぱはおかずを詰めるのが難しいと思われがちですが、そんなことはありません。白ごはんに梅干しだけの「日の丸弁当」でも様になるのは、曲げわっぱ自体のデザイン性が高いから。
「おかずの数を増やす必要も、詰め方に凝ったりする必要もなく収まりがつくのが、曲げわっぱのすごいところ。詰めるのがラクになりますよ」

【魅力3】 修理でき、長く使える

曲げわっぱについたシミ

曲げわっぱには、無塗装の白木や漆塗りなどの種類があります。特に白木は汚れてしまうことを気にする人も多いのですが、上記の写真にあるようなシミなどは、やすりなどでこすればすぐに取れます。漆は剥げてきたら塗り直すことも可能で、桜の皮で閉じている部分は修繕することもできます。
「すべてが手作りだから修繕できるんです。古くから使われてきたものだからこその使いやすさ、耐久性があるんですよ」

最初に買うならどんなものがいい? 野上さんのおすすめは3つ

曲げわっぱは値段も種類もさまざまですが、職人や作家の手できちんと作られたものを選ぶことが大事。値段は少し高めですが、長く使うことを考えると結局はコストパフォーマンスがいいといえます。使うときも特別なお手入れなどは不要で、気をつけることは3つだけ。「水で濡らしてよく拭いてから使う」「食べたらすぐに洗う」「しまい込まずになるべく使う」。意外にハードルは低いのです。

【野上さんのおすすめ1】白木タイプ

白木の曲げわっぱ

無塗装の曲げわっぱのこと。木そのものの香りはもちろん、木本来が持っている通気性のよさや防腐効果などの特性もそのまま生かされます。

【野上さんのおすすめ2】漆塗りタイプ

漆塗りの曲げわっぱ

木の表面に漆を塗装したもの。木の香りはやや失われますが、耐水性があります。汚れがつきにくい点、美しさが色あせない点も魅力で、朱色や黒、木目が見えるタイプといった塗りのバリエーションも豊富です。白木ほどではありませんが、漆にも通気性や防腐効果があります。

【野上さんのおすすめ3】入れ子タイプ

入れ子タイプの曲げわっぱ

大きさが違う器が入れ子式になったもの。お重代わりに使ったり、食べる人の量に合わせて家族でシェアしたりすることもできるので、いろいろな用途で使ってみたい、という方にはおすすめ。収納するときも重ねられるので場所をとりません。

いろいろな産地の曲げわっぱを集めるのも楽しい

さまざまな産地の曲げわっぱ

曲げわっぱの産地といえば、秋田県大館ばかりが注目されがちですが、林業が栄えた地には、その地に古くから伝わる曲げものがあるんだそう。野上さんは、仕事やプライベートで日本各地を訪れたときは必ず道の駅や雑貨店、工芸店などをのぞいて、曲げわっぱを探すのがライフワークとなっているといいます。
「新潟の寺泊、木曽の奈良井、宮崎の諸塚、静岡の井川などは、お手頃な価格で、曲げものの弁当箱を手に入れられるんですよ」

:曲げわっぱの綴じ目を比べているところ

さらに、「ちょっとマニアックですが、見比べていくと作り手のこだわりが見えてきておもしろいんですよ」と野上さん。例えば「綴じ目」。シンプルな曲げわっぱの顔ともなる部分で、綴じ方には作家ならではの工夫が凝らされているんだそうです。

【これもおすすめ!】家族のお留守番にも、曲げわっぱが便利

最後に、野上さんが実践していて「すごく便利!」という曲げわっぱの使い方も教えてもらいました。それは「家で」食べるために使うというアイディア。家族のお弁当を作るついでに家で仕事をする自分のために、お留守番する子供のために、夜遅くに帰宅する夫のために作るんだとか。

「残り物も、曲げわっぱに詰めるだけで立派なお弁当に格上げされるんです。冷めても美味しいうえ、電子レンジで温め直す必要がなく、すぐに食べられるのがいいんですね。『残り物を温めて食べてね』というと食べない夫や子供たちも、これなら食べてくれます。おかずの残りを小皿などに入れてラップをかけて取っておくよりも経済的ですし、ラク。いいことずくめの方法です」

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