世界のBENTOを探せ!ータイのお弁当はビニール袋!?

2018.8.28
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ワットプラケオ、バンコク、タイ、アジアの寺院の写真

海外でも日本語そのままに「BENTO」と呼ばれるほどに人気の「お弁当」。そんな世界のお弁当事情について、料理家・弁当コンサルタントの野上優佳子さんが「お弁当探偵」さながらに各地のお弁当箱と食文化についてレポートするこの連載。第2回目に注目する国は「タイ」です。そこには、暑い国ならではのお弁当事情がありました。野上さんが実際に現地で撮影した写真を交えて、リアルなレポートをお届けします。

連載第1回・イギリス編はこちら
世界のBENTOを探せ!ーイギリスのランチ事情をレポート

トムヤムクン、パッタイにカレー。世界が認めるグルメ大国!

バンコク・屋台の写真

アメリカの大手ニュースチャネルCNNが発表する「WORLD’S 50 BEST FOODS」。2017年のランキング上位10位中、4位にトムヤムクン(エビ入りスープ)、5位にパッタイ(米麺と具材を炒めたもの)、6位にソムタム(青パパイヤのサラダ)、10位にマッサマンカレー(タイのチキンカレーの一種)と、実に4つもの料理名を連ね、最も多くの順位を占めている国がタイです(ちなみに、1位はルンダン、2位はナシゴレンで、1位、2位ともにインドネシア。日本は3位に寿司、8位にラーメンがランクインして、こちらも大健闘!)。

タイの首都・バンコクといえば屋台が有名。しかしここ数年は、大きな屋台街に次々と撤去命令が出て減少しているのが実情です。とはいえ今も、街中で串料理やクイッティアオ(タイ風ラーメン)、カオトムやジョークと呼ばれるお粥類、フルーツなどの屋台が、朝から夜までかなりお安く楽しめてどれも本当に美味! その一方で、宮廷料理や最新のタイ料理を提供するハイエンドなレストランもたくさんあり、まさに外食天国です。

タイ料理店のテーブルで見るあの調味料が、豊かな味わいの秘密!?

日本でもタイ料理店に行くと、食卓に4つの調味料が置いてあるのをよく見かけます。これらは「クルワンプルーン」と呼ばれ、大きくわけて①砂糖(甘味)、②ナンプラー(旨味)、③粗挽きトウガラシ(辛味)、④酢(酸味)で形成されています。ここに、⑤レモングラスやパクチーなど(香り)が加わり、味覚に関わる5つの要素がタイ料理のおいしさの背景になっているのです。

また、アユタヤ王朝の歴史を見てもわかるように、タイは古くから東西の交易の拠点であり、ミャンマー・カンボジア・ラオス・マレーシアを隣国とする背景から、食の面でもさまざまな文化交流の軌跡が見られます。タイ全土を4つのエリアにわけて見ていくと、北部の料理はマイルドでリッチな味わいが特徴で、もち米をよく食べます。対してイーサーンと呼ばれる東北地方の料理は辛味と塩味が濃いめで、肉も川魚もよく食べます。また、海が近い南部ではシーフード料理が発達。ガピ(エビの発酵調味料)が多用され、他の地域よりもスパイシーです。そして代々首都が置かれた中部には、すべての地方の料理が集まって洗練されているのが特徴。中国文化の影響からうるち米を食べ、米粉麺が普及しているといわれます。

つまり、甘・旨・辛・酸・香の5つの味覚の要素に4つの地方食文化が折り重なって、タイの豊かな食文化が形作られている、というわけです。

手作りしないのが主流!? 暑い国ならではのお弁当事情とは…

手作りしないのが主流!? 暑い国ならではのお弁当事情とは…

とにかく1年中暑く食べ物も傷みやすいうえ、外食も安いことから、特に都市部はお昼にお弁当を自分で作って持参する人はすごく少ないそう。それは、お弁当のレシピ本の少なさからも見てとれます。先日バンコクに出かけた際、市内の書店をめぐってみましたが、お弁当のレシピ本はほとんど見つけられず…。唯一見つけた1冊も、サンドイッチやパスタサラダなどローカル色が薄めの内容でした。

お店でおかずを詰めてもらうのが、タイのお弁当スタイル!

コンビニ弁当の写真

おうちで手作りする人は少ないものの、市販のお弁当は日本同様にスーパーやコンビニで売られています。日本とちょっと事情が違うのは、お弁当箱は「箱」に加えて、ビニール袋(!)も主流であること。街中では仕事の休憩中に、ビニール袋から屋台で買った食べ物を取り出して昼食をとる人がたくさん! なかでもよく見かけたおかずがサテ(串焼き)。ほかにはガイトート(鶏のから揚げ)などもポピュラーなようで、生キャベツが入っていたりもしました。また、カオニャオ(もち米)もビニール袋入りで売られており、サテ(串焼き)の屋台で「サテとカオニャオ」をセットで買う人も多かったです。

もう1つ印象深かったのは、空のお弁当箱を持参して、屋台でおかずをそのお弁当箱に詰めてもらう人を何人も見かけたこと。まるで、コーヒーショップにタンブラーを持参するかのようです。実は何年も前から、日本でそれができないか、と言い続けている私としては、「やっぱりそれ、いいよね!」と思わず声をかけそうになりました。

日本でも人気、ステンレス製で堅牢な「シーガル社」のお弁当箱

シーガル社のお弁当箱の写真

日本でタイのお弁当箱といえば、ステンレス製のものがおなじみ。直火にもかけられることから、アウトドアグッズとしても人気です。タイのステンレス製キッチン用品ブランドは、『Seagull(シーガル)』と『Zebra(ゼブラ)』、そして『Penguin(ペンギン)』が3大巨頭でほぼ市場を独占しています。日本国内に出まわっているのもこの3社。

写真のお弁当箱はシーガル社のもので、ふた付きの小容器がついています。ふたにパッキンが付いていないので、正直なところ、汁もれの心配は多少ありますが、腐食に強く、食品のにおい移りや色移りがせず(カレーだって大丈夫!)、留め具もステンレスで、落としても割れたり欠けたりしない、という堅牢さとシンプルなデザインで日本国内ではロングセラーの商品です。

ちなみに…バンコク市内の大型生活用品店を数軒まわりましたが、お弁当箱コーナーはものすごく小さくて、売っているものはプラスティック樹脂のものばかり。ステンレス製のお弁当箱は一度も見かけませんでした(笑)。輸出向け商品で、タイ国内でのニーズは低いのかもしれませんね。

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