夏は野菜が傷みやすい季節。買い置いていたのに、すぐにだめになってしまった経験はないでしょうか。
「傷ませてしまうと捨てるしかないし、なんとかいい保存方法はないかな……?」と悩まれている方も多いはず。
野菜は、冷蔵保存やソースに加工して保存ができますが、実はジャムにして保存することもできるのです。
この記事では、トマトやナスなど、夏野菜をジャムにして有効利用する方法をご紹介します。野菜が傷みやすいこの季節、上手に活用してみませんか?
保存がきくだけではありません、野菜をジャムにする4つのメリット
日本ではジャムといえば果物ですが、野菜ジャムは、ヨーロッパを中心に、野菜のポピュラーな保存方法として知られています。
たとえば、フランスでは「コンフィチュール」や「タルティネ」と呼ばれ、玉ねぎやトマト、赤パプリカなど野菜の甘さを活かしたジャムが作られています。
野菜をジャムにすると以下のようなメリットがあります。
①保存がきく
ジャムは砂糖の効果で食品中の水分を減らし、菌の働きを抑えることで腐敗を防ぎます。野菜を冷蔵庫で保存する場合1週間が限度だと思います。
しかし、ジャムにして密閉状態で保存すると未開封で1〜2年はもつそうです
②パスタやピザなど、さまざまな料理に使える
野菜の旨みや甘みを活かしてジャムを作ると、果物とはまた違ったジャムになり、パンだけでなく、パスタやピザ、ポタージュなどいろいろな用途に使うことも可能です。
③いつでも手軽に野菜が食べられる
野菜はジャムにすると体積が小さくなるので、いつでも野菜を食べられます。たとえば、パンに塗ったり、朝ごはんの目玉焼きの付け合わせにしたりと、さまざまなシチュエーションで活用ができるのです。
④お子様や年配の方も食べやすくなる
ジャムにすると野菜が柔らかくなり、繊維があまり気にならなくなりますので、小さいお子様からご年配の方でも食べやすくなります。
このように、野菜ジャムは、幅広い年齢に食べやすく、アレンジがきく保存方法なのです。
トマトやかぼちゃだけでなく、コーンまで!?ジャムにすると美味しい夏野菜
ジャムにすると美味しい夏野菜には、どのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、ジャム作りにおすすめの夏野菜をご紹介します。
①<トマト>
トマトは煮込むことで酸味が取れ、甘みが出ます。やり方によってはかなり濃く作ることができ、市販のトマトピューレからトマトペーストのようなかたさまで、目的や好みに応じてアレンジ可能です。
未熟の青トマトを使う時は、青々しさが残った風味になります。トマトソースやピザにも使えるように、ハーブなどを入れると味に深みが出るでしょう。
②<コーン>
コーンはもともと甘みの強い野菜なので、ジャムに向いています。フードプロセッサーにかけたものと、粒を残したものを一緒に煮込めば食感の変化を楽しめるでしょう。
コーンは粒を取る作業が面倒ですが、冷凍食品のコーンカーネルを使えば、調理も簡単です。
③<かぼちゃ>
かぼちゃは実によって、スジっぽかったり、みずっぽかったりすることがありますが、ジャムにしておけば食感も均一になります。
ホクホクとした甘さは大人から子どもまで楽しめ、パンにぬったり、チーズケーキに入れたりと幅広い方法で活用可能です。
④<ナス>
にんにくとオリーブオイルで味付けしたもので、カナッペなどにしたり、肉の付け合わせにしたりと、ヨーロッパを中心にさまざまな料理に活用されています。
通常、皮をむいて作るので、えぐみが少なく、ナスの甘みを感じることができるでしょう。
トマトやナスのジャムのレシピをご紹介
さて、お待たせしました。ここからは夏野菜を使ったジャムのレシピをご紹介します。
本サイトでは、7月にWebサイト上で「夏が本格化!あなたの好きな夏野菜は、どれ?」というアンケートを行いました。
選択肢は「トマト」「ナス」「オクラ」「ズッキーニ」の4つ。得票数1位を獲得したのは、全得票数の内、約40%の票を獲得した「トマト」で、次いで2位は約30%の票を獲得した「ナス」でした。
ということで、ランキング1,2位の夏野菜、「トマト」と「ナス」を使ったジャムのレシピをそれぞれご紹介します。
レシピ:①
●トマトのジャム(フランス風トマトのコンフィチュール)
◆材料
・トマト…5個
・玉ねぎ…1.5個
・砂糖…大さじ1
・オリーブオイル…大さじ1
① トマトはヘタを取り除き、湯むきをして皮も取り除いておく。種も一緒に、ざく切りにしておきましょう。玉ねぎは薄切りに。
② 玉ねぎを薄切りにしたものを鍋に入れ、水を100ml加えて中火にかけ、飴色になるまで炒める。これをフードプロセッサーにかける。
(玉ねぎは甘みのベースになり、上手にできるとかなり甘いです。焦がさないように水を入れてはじめているのがコツ)
③ ②に①のトマトとオリーブオイルを入れて、トマトをつぶしながら煮詰めていく。汁がはねるので火加減は中火から弱火で。
出来上がりの目安は、小皿にジャムを垂らして傾けた時に、流れてこないくらい。お好みで砂糖をプラスして混ぜ合わせる。ただし、入れなくても玉ねぎの甘みで十分に甘くなります。
レシピ:②
●ナスのジャム
◆材料
・ナス……250g
・玉ねぎ……1.5個
・にんにく……1片
・オリーブオイル……大さじ1
・砂糖……大さじ1
① ナスは焼き網を使い、表面の皮が焦げるまで焼きます。(きちんと焼くと甘みが出ます)焼いたナスは皮を取り、にんにくと一緒にフードプロセッサーにかけてペーストにする。
② 玉ねぎを細切りにしたものを鍋に入れ、水を100ml加えて中火にかけ、飴色になるまで炒める。これをフードプロセッサーにかける。
(玉ねぎは甘みのベースになり、上手にできるとかなり甘いです。焦がさないように水を入れてはじめているのがコツ)
③ ①②を混ぜ合わせたものに、オリーブオイルと砂糖を入れて、ヘラで混ぜながら煮込む。仕上がりの目安は、スプーンですくったときに形がこんもりとなって崩れないくらい。ペタンとなるようなら、火にかけて水分を飛ばします。
ここで、野菜ジャムを作る時に注意しておきたいポイントをいくつかご紹介します。
・糖分は控えめに
野菜のジャムは砂糖を入れすぎると、どれも同じような味わいになってしまい、野菜本来の旨みを感じることができなくなります。
そこで、ヨーロッパの野菜ジャムを見習って、メープルシロップや黒砂糖、りんごジュースで甘みを付けるアレンジ方法もあります。
・水分が多い野菜ジャムは腐敗に注意
野菜のジャムは、清潔なビンに、熱いうちに入れて密閉すれば日持ちしますが、空気が入ると腐敗してしまいます。腐敗を防ぐため、ビンは必ず未使用のものを使い、冷凍保存をしましょう。
(※ 割れ防止のため、耐熱性のあるもので、満杯にせず8割程度の量にしておくのもポイント)
野菜ジャムは果物ジャムより水分が多いのが特徴です。水分が多くなると腐敗しやすいので、開封した野菜ジャムは早めに使い切るようにしましょう。
作ったジャムはお肉やデザートに、野菜ジャムの使い方
・お肉の付け合わせ
できた野菜ジャムにはいろいろな利用方法があります。よく使われているのは、お肉の付け合わせです。ステーキなどに添えて、野菜ジャムの甘みでお肉の旨みを引き立ててくれます。
肉は豚肉・鶏肉・牛肉などお好みで。お醤油とジャム1:1でみりんのような調味料替わりにもできます。
ジャムを作る時に砂糖の量を減らせば、ポタージュや、パスタソースにも利用できるので、こちらもお試しください。
・手軽なデザート
ジャムをお湯で伸ばしてゼリ―で固めると、野菜ジャムのテリーヌ風のデザートができます。ゆでた白玉にジャムを添えれば、あんこの替わりにも。
他にもチーズケーキに混ぜたり、ヨーグルトに混ぜたりと、使い方はさまざまです。
野菜はもともと甘みを持つものが多いので、野菜ジャムを味わってみると違和感を感じないはず。「ミスマッチなのでは?」と思っていた方も、野菜の保存方法として、野菜ジャムを試してみませんか?