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新そばを食べませんか?きっと食べたくなる!?“「そば」トリビア”

  • 2017.09.19
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つゆや具材によってさまざまなバリエーションが楽しめるだけでなく、栄養満点とも言われる「そば」。店頭でも、そろそろ「新そば」の貼り紙が増える時期ですね。

今回は、越前そばで有名な福井県でそば粉の製粉・販売を行っている増田そば製粉所さんに、そばをより楽しみながらいただくためのさまざまな“「そば」トリビア”を伺いました。

◎そばの旬は1年に2回ある!?


一般的に、そばの旬は秋といわれていますが、実は種をまく時期によって“夏そば”、“秋そば”という2種類に分けられることはご存じですか?つまり、1年に2回旬があるのです。
栽培する地域によっても異なりますが、夏そばは4月上旬~6月下旬頃に種をまきはじめ、それぞれ6月中旬~8月中旬頃に収穫します。

「夏そばは犬も食わぬ」ということわざがあるように、かつて夏そばは秋そばより風味が劣るといわれていましたが、品種改良や保存技術の進歩によって、現在ではおいしい夏そばを楽しむことができるようになりました。

そばの名産地、福井県でも、平成26年より本格栽培が始まり、そばの需要が高まる夏に収穫される新そば「福井夏そば」を推進しており、新たな食文化として定着を目指しています。

秋以降に収穫する秋そばと比較すると、夏そばは香りや味がやや淡白と言われますが、暑い時期にも「そば」を味わえることから、根強い人気があります。

一方で、秋そばは7月上旬~9月上旬頃に種をまき、9月中旬~11月中旬頃に収穫期を迎えます。夏の太陽の光をたっぷりと浴びて育った秋そばは、味・色・香りともに格別。だからこそ、一般的なそばの旬=秋といわれているのですね。

◎そばは、縄文時代から食べられていた!?

そばの歴史を紐解くと、縄文時代にまでさかのぼります。
埼玉県さいたま市岩槻区の真福寺泥炭層遺跡からはそばの種子が出土しているほか、高知県佐川町の地層からはそばの花粉が発見されているのです。

しかし、お米などと比べて食料としてあまり発展しなかったのは、収穫してからそば粉へ製粉する工程が難しかったためだともいわれています。

縄文時代、収穫したそばをそば粉にするための臼は効率が悪く、多くの時間と労力が必要でした。その後、鎌倉時代に、宋から帰国した聖一国師が、水車を利用したひき臼の技術を持ち帰ります。以来、日本における製粉技術は著しく進歩し、食料としてのそばは急速に普及していったと言われています。

◎江戸時代より前、そばは“麺”ではなかった!?

そばが現在のような麺の形(そば切り)で食べられるようになったのは、江戸時代の少し前からのこと。諸説ありますが、それまでつなぎは使われず、そば粉だけのぼそぼそとした状態では麺線に加工、成形することが困難だったそう。その後、寛永年間(1624〜1644年)に朝鮮の僧侶が、小麦粉をつなぎに使う方法を南都東大寺に伝えるまでそば粉は熱湯で練ったそばがきやそば団子として味わう以外に手段はなかったと言われています。

実際に江戸初期の寛永20年(1643年)に発刊されたレシピ本、「料理物語」や、元禄2年(1689年)の「合類日用料理指南抄」には、ぼそぼそ状態のそばを麺に加工する方法として、おも湯や豆腐をすり潰したものをつなぎとして使う方法などが紹介されています。

その後、小麦粉を使う方法が広まった後も、小麦が高価であったことや、小麦の収穫が困難だった地域では、卵や山芋(自然薯)、ワラビ粉、豆汁、大豆粉などがそばのつなぎとして利用されてきました。こうしたつなぎの違いが全国各地のそばの特徴として残っていることからも、そばは地域の特色とともに育まれた日本の食文化だということがわかりますね。

◎「そばがき」は調理工程によって2種類に分けられる!?

そばがきとは、お湯や水とそば粉を混ぜて、塊状にしたもの。シンプルな料理ですが、ご家庭でも簡単に調理ができ、そば本来の味を感じることができ酒のつまみとしても人気の一品です。

このそばがきには、お椀にそば粉と熱湯を入れてかき混ぜて作る「椀がき」と、火にかけた鍋でそば粉と水を合せて加熱しながら練る「鍋がき」があります。椀がきは加熱しないため、そばの風味が残りますが、熱湯を入れてからすばやく混ぜないと粉っぽさが残ってしまいます。一方で鍋がきは加熱しながら調理することから風味は椀がきに比べて劣りますが、粉っぽさが残らず、なめらかな食感を楽しむことができます。

そばがきはわさびやねぎといった薬味を添えたうえで、そばつゆにつけて食べるのにぴったり。そばがきは餡との相性も良いため、おしるこに入れるのもおすすめです。

また、そばに含まれるでんぷんの特性上そばがきは消化もよく、栄養を効率よくとることができるため、健康食として見直されています。

そばに含まれる栄養素の多くは水に溶けやすい性質を持っているので、そばがきにすることは、おいしく、また栄養分も余すことなくいただける効率の良い食べ方と言えますね。

◎「生そば」とは“そば粉だけで打ったそば”のこと!?


そば屋の看板に「生そば」と書いてあるのをよく見かけませんか?なんと読むのか分からない人もいるかもしれませんが、これは「なまそば」ではなく「きそば」が正解。「生そば」の本来の意味は、「つなぎをまったく使わず、そば粉だけで打ったそば(生粉打ちそば)」のこと。

江戸時代中期以降、麺のつなぎとして小麦粉が使われるようになり、「二八そば」なども生まれてきました。そのため、そばの品格の違いを強調するために、「生そば」を看板に掲げるお店も増えてきたそう。ところが、幕末になると「二八そば」を提供する店も「生そば」を謳うようになり、そもそも区別する意味がなくなってしまったようです。文字通りその名残で、現在ものれんや看板に「生そば」を掲げているお店も多いようですが、必ずしもそば粉100%のそばを出している、という意味ではないようですよ。

◎「かけそば」は、せっかちな江戸っ子から生まれた!?

そばはもともと、別の器に入ったつゆに少しずつつけて食べるスタイルでした。江戸時代の中頃には、「それじゃ面倒だ!」という人々が出始めたため、そばにつゆをかける食べ方が登場。そうした「ぶっかけそば」が「ぶっかけ」になったあと、「ぶっ」が省略され「かけそば」に。「もっと簡単にそばを食べたい」という江戸っ子たちの要望によって、「かけそば」は生まれたのです。

当初、かけそばは冷たいそばに冷たいつゆをかけるだけでしたが、やがて寒い冬には温めたつゆをかけるようになります。そして「かけそば」が流行する一方で、従来の食べ方は新たに「もり」と呼ばれるようになりました。

「もり」とは、そばを高く盛りあげる形が由来。店によって異なる器の名前が転じて、「せいろ」「皿そば」といった別の呼び方も生まれました。このあたりから、「もりそば」「かけそば」という江戸そばの基本形が確立していったのです。

◎「そば湯」は、旨味も栄養もたっぷり!?


そば屋で食事する際に、提供されることが多いそば湯。そば湯は、簡単に言うとそばを茹でた時の茹で汁です。「あまり味もないし、どうして出されるんだろう?」と疑問に思っている方も少なくないはず。

しかし、このそば湯にはそばの持つタンパク質やデンプンが含まれています。特にそば粉に含まれる植物性タンパク質は、水に溶けやすく、その多くがゆで汁の中に流れ出てしまいます。おいしいそばを食べた後は、そば湯をじっくり味わってみてください。

◎そばには、在来種と改良品種がある!?


日本のそばは、栽培のしやすさや収穫量増加のため、昭和初期頃に固有の土地で長い間栽培されてきた在来種から、品種改良され特別な名前がついた品種の栽培へと変わっていったといわれています。

在来種の多くは、福井の「大野在来」や「丸岡在来」のように栽培地の名を頭につけて呼ばれています。発芽時期や収穫時期が統一された品種改良種とは異なり、実のひとつひとつにばらつきがある在来種は、品種としての均一な特性を維持することが難しいという一面があります。(多く収穫量が得られるようになど改良された改良種とその反面収穫量は少ないがその土地ならではの個性を持った在来品種として、豊かな味わいを楽しむこともできるのです。

そばの産地として年々知名度を上げている福井県でも、秋そばの栽培では昔ながらの在来種が使用されています。その土地ならではの在来種が今なお残る福井県のそばは、日本でも有数のおいしいそばが味わえる土地なのです。

◎石臼でそば粉を挽くと風味は豊かになる!?


そば粉は香りや風味がとりわけ大事だといえますが、製粉を行う際にはこれらの要素を損なわないようにするのが重要です。

そば製粉の方法は、主に2種類。石臼による石臼挽き製粉と、機械によるロール製粉です。

石臼挽き製粉では、上下に重ねた石をすり合わせ、そこにそばの実(玄そば)を入れて粉にします。一方、ロール製粉とは、細かい溝を切った2本の鋳鉄の筒を噛み合わせて回転させ、筒の間にそばの実(玄そば)を流し込み粉砕させながら粉にする製粉方法です。

通常のロール製粉機は、毎分数百回転で動きますが、石臼挽きの場合は毎分およそ15〜25回転。効率を考えると、ロール製粉機が優れていますが、そば粉の仕上がりや質にこだわると、石臼挽き製粉に軍配が上がります。

高速のロール製粉ではそばの実(玄そば)に熱を与えてしまいますが、石臼挽き製粉なら熱が加わりにくく、はるかに香りが飛びにくい(粉焼しにくい)製粉方法だからです。

さらに石臼挽き製粉は、そばの実(玄そば)をすり潰す形で製粉を行うため、香り高く粒子の細かいなめらかなそば粉に仕上がります。石臼挽き製粉は昔ながらの製粉方法ですが、手間暇をかける方法だからこそ、より風味豊かで最高のそば粉を生み出すのです。

こだわりの詰まったそばを、旬の今こそ味わおう!


ご紹介したトリビアの数々はいかがでしたか。日本人にとって親しみのあるそばですが、実は知らないことも多かったのではないでしょうか。

秋は1年でもっともおいしいそばが楽しめる季節。今年は、地域によってさまざまなこだわりが見られる“そばめぐりの旅”にでかけてみませんか?




プロフィール

増田そば製粉所
福井県で厳選された福井在来種玄そばを石臼挽きでじっくりと製粉、販売。挽きたて越前そば粉の「鮮烈な香り」・「濃厚な甘み」・「こうばしい味わい」を届けている。
https://www.masudasoba.com/

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