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未知の可能性を追い求めて。
アセロラ研究の飽くなき探究

未知の可能性を追い求めて。
アセロラ研究の飽くなき探究
栄養価に優れたスーパーフードとして知られるアセロラ。1984年にアセロラを使った商品を発売以来、日本にアセロラが広まるきっかけを作ったのがニチレイフーズです。そして現在に至るまで、研究開発を通じてアセロラの様々な特性を解き明かしてきました。アセロラの魅力、活用方法、そして今後の可能性について、研究開発部の青木仁史氏、花村高行氏が詳しく解説します。

アセロラの可能性にいち早く注目し、
独自研究で様々な特性を解明

アセロラのポテンシャルにいち早く注目していた当社は1984年以来、アセロラを使った商品を次々と生み出し、1986年『アセロラドリンク』の大ヒットにより、アセロラの知名度は一気に高まりました。

私たちは日本におけるアセロラ事業のパイオニアとして、海外の生産拠点を開拓し、品種改良から栽培管理、加工、輸出までを一括して行うことで安心・高品質なアセロラを提供しています。
それと同時に注力し続けているのが研究です。特に1999年農林水産省の指導・助成のもとに設立された「ニューフード・クリエーション技術研究組合(NFC)」への参画を皮切りに、アセロラが持つ様々な成分や特徴を明らかにしてきました。

例えば、アセロラにはレモン果汁の約34倍のビタミンCが含まれていることで知られていましたが、研究を進めていくと、ブドウやブルーベリーと同程度のポリフェノールも含まれていることが分かりました。さらに、このビタミンCとポリフェノールの組み合わせに着目して研究を行った結果、他の果実と比較して抗酸化力を示すORAC値が高いことや、アセロラ由来のビタミンCが合成ビタミンCよりも多く体内に吸収されることが証明されました。

他にも、細胞を使ったコラーゲン産生の実験や運動機能に及ぼす評価など、ビタミンCだけにとどまらないアセロラの優れた特性の発見に現在も取り組んでいます。

飲料や食品だけじゃない。
クリーンラベル原料としても注目を集める

アセロラは飲料や食品の枠を超え、様々な領域への活用が広がっています。そのひとつが、分かりやすい表示やシンプルな原材料で作られた商品を志向する「クリーンラベル」への対応です。

私たちが日常的に食べているハムやパン、弁当、惣菜、果物などには、酸化による品質の劣化を防ぐために酸化防止剤が使用されているケースが多くあります。そこで使われている酸化防止剤の代わりとして、強い抗酸化力を持つアセロラを使用することができれば、「酸化防止剤(アセロラ)」と表記できるようになり、クリーンラベル原料を求めるお客様の要望に応えることができると考えたのです。

ただし、アセロラ原料は自然素材のために単価が高く、選ばれるためには代替できるだけにとどまらない付加価値を提供する必要があります。そこで商品開発グループとも連携しながら、プラスアルファの価値を見出す研究を進めました。なかなか思うような成果が出ずに苦労することもありましたが、試行錯誤の結果、様々な食品素材の褐変防止や香り成分の劣化防止などの効果を証明することができました。

さらに、アセロラ原料は濃縮果汁やパウダーで提供していますが、アセロラは果実が赤く熟すにつれビタミンCが徐々に減少する特性があるため、完熟する前に収穫してパウダーに加工することで、より多くのビタミンCが含まれた原料の提供も実現しています。

今後もクリーンラベル原料の市場拡大が予想される中、当社は2023年にアセロラパウダーの生産ラインをブラジルに新設。契約農家から買い取ったアセロラ原料のみを取り扱い、トレーサビリティを担保したアセロラパウダーを提供することで世の中のニーズに応えていきます。

アセロラを使った養殖魚ブランドを開発。
未知の可能性を開拓し続ける

もうひとつ、アセロラの活用事例としてご紹介したいのが、近畿大学との共同研究によるアセロラ原料を使った養殖魚ブランドの開発です。

私たちの食卓を支えている養殖魚は、加工してから消費者の口に入るまでの品質を保持することが重要であり、アセロラに多量に含まれるビタミンCとポリフェノールが養殖魚の品質保持に役立つ可能性があることから、2018年より近畿大学と共同研究をスタートさせました。

大量の魚をニチレイフーズの研究施設に送ってもらい、様々な効果を確認するために食味や色合い、食感、においなどを分析評価する日々。最初は魚のプロであるグループ会社のニチレイフレッシュの方に捌き方などを教えてもらうこともありました。

こうした研究を進めた結果、アセロラ果汁を生産する際の副産物である搾りかすを飼料に配合することで、従来よりも鮮やかな赤身の色を保持し、香りや味わいも向上できることが明らかになりました。共同開発した商品は『アセロラぶり®︎』『アセロラ真鯛®』『アセロラブリヒラ(※)』といったブランドで、スーパーマーケットのベイシアを中心に販売展開しています。

このように、アセロラは果汁のみならず、搾りかすも含めて果実丸ごとに大きな価値があります。私たちは30年以上にわたってアセロラを研究し続けてきましたが、まだまだ未知の可能性が秘められていると考えています。科学技術の進歩に応じて新たな研究テーマを設定するとともに、自社のアセロラ試験農園にてマーケットニーズに対応した品種改良にも注力しています。

アセロラ事業に長い歴史とノウハウを持つニチレイフーズならではの強みを生かし、今後もアセロラの可能性を切り拓いていきます。

※ 「ブリヒラ」は近畿大学の商標登録です

近畿大学と共同開発した『アセロラぶり®︎』
近畿大学と共同開発した『アセロラぶり®︎』

担当者の紹介

青木 仁史
青木 仁史
ニチレイフーズ 食品総合研究所 研究開発部
1995年入社。食品の研究グループにて農畜水産品の食材の改良研究とともに、アセロラの研究に携わる。その後、東京大学との共同研究をきっかけに大学に通い、博士号を取得。アセロラの機能性を研究するチームのリーダーや事業企画を経て、現在は研究開発部の部長を務める。好きな商品は『今川焼(あずきあん)』。
花村 高行
花村 高行
ニチレイフーズ 食品総合研究所 研究開発部
1998年入社。アセロラの成分分析・探索、機能性研究、肌状態の改善効果、生活習慣病予防など、基礎的な研究開発を担当。商品開発にも携わる。その後、製品の食味を客観的に評価する分析評価の仕事を担当しながら、現在もアセロラの研究に携わっている。好きな商品は『本格炒め炒飯®︎』。