おいしさの追求にゴールはない。
『本格炒め炒飯®︎』開発ストーリー

4年間の開発期間をかけて誕生。
プロが作る本物のおいしさで大ヒット
『本格炒め炒飯®︎』の商品開発がスタートしたのは、1990年代後半のこと。当時、冷凍炒飯といえば炒めていない中華風の混ぜご飯のようなものが主流で、家庭で作る炒飯もお店で食べるパラッと香ばしい炒飯からは程遠いものでした。その一方で、電子レンジの普及率が高まる中で、簡単・便利においしい食事をしたいというニーズも根強くありました。
そこで、ニチレイフーズは「プロが作る本物のおいしさを、家庭にお届けしたい」という思いのもと、電子レンジ調理で本格的な味わいを楽しめる冷凍炒飯の開発に着手。合言葉は「プロの技」の再現。その中でも炒めるという工程を重要視しました。具体的には油を熱する温度や時間、卵の投入タイミングなど、徹底的に再現することを目指しました。もちろん、大量の米を炒める機械は世の中にありませんので、装置開発や工場のメンバーと一緒にイチから開発し、プロの技術を生産ラインに落とし込んでいきました。
開発期間は4年間。発売に至るまでの道のりは平坦ではありませんでしたが、出来上がった炒飯は本当においしくて感動し、「この商品をより多くのご家庭にお届けするんだ!」という熱意が社内全体で高まっていたのをよく覚えています。
2001年春の発売直後から、「自宅で電子レンジ調理するだけで、中華料理店で食べるようなおいしさとパラパラ感を味わえる」と大きな反響を呼び、爆発的なヒットを記録。とても嬉しかったのですが、あまりの反響に生産が追いつかず、工場では全部署のメンバー総出で炒飯の生産ラインの対応をするほどでした。安定供給に向けて奔走する毎日を過ごしながら、「本当にすごい商品を作ってしまったんだな」と実感していました(笑)。

売れているのに大改良。
飽くなき探究心でさらなる品質向上を実現
発売以来、23年連続売上No.1(※1)を記録し続け、ニチレイフーズの看板商品となった『本格炒め炒飯®︎』。圧倒的な人気の裏側には、現状の品質に甘んじることなく、常に「もっとおいしくできないか?」という視点で品質向上に取り組んできた歴史があります。
その象徴ともいえる出来事が2015年の大規模リニューアルです。当時、売れ行きは相変わらず好調でした。一方で、ボリュームタイプや男性ターゲットの炒飯、有名店の監修炒飯などが様々なメーカーから発売され「炒飯戦争」と言われていた時期でもありました。売れ筋商品を変えることには社内でも様々な意見がありましたが、「このタイミングで自分たちの炒飯をもう一度見つめ直すことで、もっと良いものができるはず」と、開発者たちの飽くなき探究心がプロジェクトの推進力となりました。
リニューアルに際しては、100軒以上のお店で炒飯を試食し、ニチレイフーズとつながりのある料理人の皆さんにアドバイスもいただきながら、開発の目標品質となる「理想の炒飯像」を固めていきました。
そして、料理人が調理する工程や時間、温度などを細かくチェック。プロの技の「あおり」を再現するために開発したのが「三段階炒め製法」です。自分たちが作る炒飯と何が違うのかを料理人も交えて議論するなど、プロの技ともう一度向き合いながら、原料の選定、米の水分量や具材の配合、調味料、工程など、様々な観点で品質向上に取り組みました。
投資金額は約30億円。香ばしさやパラパラ感がパワーアップしたことで、より多くのお客様に『本格炒め炒飯®︎』のおいしさを楽しんでいただけるようになりました。その後も焼豚のサイズアップや、炒める工程を追求しつつ焦がしネギ油で香ばしさを補強するなど、より良い品質を目指して改良を重ねていき、2023年、年間売上150億円を突破するほか「世界で一番売れている冷凍炒飯」としてギネス世界記録™️にも認定(※2)されました。
※1 インテージSRI+冷凍調理炒飯市場2017年3月~2024年2月 各年累計販売金額
インテージSRI冷凍調理炒飯市場2001年3月~2017年2月 各年累計販売金額
※2 記録名:最大の冷凍炒飯ブランド(最新年間売上)対象年度:2023年

真剣にものづくりと向き合う姿勢が
商品開発の原動力に
ここまで継続的においしさを追求し、品質を高め続けることは決して簡単ではありません。そのために商品開発部では以下のCredo(信条)を掲げ、定期的に私たちのあるべき姿に立ち返る機会を作っています。
1.ベンチマーク品を決めて徹底的な“ものづくり”をします。
2.個々の思いを込めた“ものづくり”をします。
3.予算必達に向けて重点品を中心とした数字へのこだわりも忘れません。
4.相手の立場を踏まえながら関連部署を巻き込んで、目標を実現させます。
5.明るく(A)、楽しく(T)、前向き(M)にがんばります!
実際に、新商品のテストや新しい装置を導入するときは、いろんな部署のメンバーが集まって目を輝かせながら話している姿をよく見かけます。そして、忙しい毎日を過ごす中でも、あるべき姿やお客様が求めていることを振り返り、その理想に近づくために何をすべきなのかをみんなで話し合っています。さらに、研究開発や装置開発のメンバーと一緒に未来の炒飯についても議論を交わし、そこで生まれたアイデアは、ニチレイグループ 技術開発センターにあるテストプラントで実用化も含めて検証を行うこともあります。
このように、ニチレイフーズではまじめに、誠実に、ものづくりと向き合う風土があります。このような風土があったからこそ、炒飯という一つの商品のリニューアルに約30億円もの投資をすることができました。われわれ開発は「おいしさとは何かを見つめ続ける」ニチレイフーズのものづくりの魂です。
これからも私たちは「くらしに笑顔を」という企業コンセプトのもと、生活に欠かすことのできない「食」を支える冷凍食品メーカーとしてのプライドと高い志を持ちながら、『本格炒め炒飯®︎』のさらなる進化にチャレンジし続けます。

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