5年ごとに世界の国々が集まり、6カ月間開催される世界最大の祭典「国際博覧会(以下、万博)」。2025年は大阪で「大阪・関西万博」が開催され、ニチレイフーズも1970年の「大阪万博」以来55年ぶりに出店します。実は、過去に開催された万博から数々の食トレンドが生まれたことをご存じでしょうか? そこで、万博愛好家・藤井秀雄さんと共に過去の万博で話題になった食トレンドを振り返りつつ、食の未来とニチレイフーズの新たな挑戦についてご紹介します。
今や定番のアレも、実は万博発!
万博ごとに食のトレンドに個性が出る?
万博で提供中のメニューを藤井さんが体験! 各メニューの推しポイントも紹介
ずばり、大阪・関西万博で注目される食はこれ!
ニチレイフーズが生み出した食トレンド
未来の食体験を大阪・関西万博で!ニチレイフーズの挑戦
今や定番のアレも、実は万博発!
万博愛好家って? と思われた方に、まずは藤井秀雄さんの経歴を簡単にご紹介します。1970年の大阪万博で、斬新なデザインのパビリオンや映像展示、海外の国々と出会い、その異次元空間に魅了された当時12歳の藤井さん。以降、国内開催の万博は全制覇、海外は11種類の万博を訪問し、現在は万博愛好家で構成する「EXPOサポーターズ」として活躍しています。
万博愛好家・藤井秀雄さん
全パビリオンを見たくて、家族(兄弟)で計11回も通った1970年の大阪万博から私の万博人生がスタート。国内外の博覧会を訪問するのはもちろん、家でも万博を楽しむべく、各種資料やピンバッジを中心にグッズを収集し、その数約1.6万点。万博愛好家でもあり収集家でもあります。
そんな万博愛に溢れる藤井さんに、過去の万博から広がったグルメや食文化について、教えてもらいました。
1970年の大阪万博は日本で開催された万博とあって、その後日本に広まったグルメがたくさん。ブルガリアのパビリオンでは「ブルガリアヨーグルト」が、アメリカンパークではさまざまな「ファストフード」が、フランスパビリオンでは「フランスパン」が紹介され、定着していきました。なかでも、藤井さんにとって思い出深いのが、今では当たり前に自動販売機で買うことができる「缶コーヒー」。
万博愛好家・藤井秀雄さん
お弁当を持って行っていたんですが、当時はペットボトル飲料など手軽に買える飲み物がなかったので、自動販売機で売られていた缶コーヒーを飲みながらおにぎりを食べた記憶が。当時の缶コーヒーには砂糖がたっぷり入っていたので、甘いおにぎりの印象がいつまでも残っています(笑)
また、2015年のミラノ万博のシチリアパビリオンで出会った「オレンジの生搾り自動販売機」には衝撃を受けたそう。
万博愛好家・藤井秀雄さん
搾りたてのオレンジジュースは本当においしくて、会期中に何度も飲みました。その後、日本のショッピングセンターや駅構内などでも見かけるようになり、最近ではオレンジだけではなく、りんごの生搾り自動販売機も出てきていますね。

2015年のミラノ万博で出会い、あまりのおいしさに何度も飲んだというオレンジの生絞り自動販売機(写真提供:藤井さん)。
万博ごとに食のトレンドに個性が出る?
各国のパビリオンなどの展示や紹介の一部として、その国の料理が紹介されることがありますが、食をテーマにした万博は数少ないんです。そのなかで、2015年のミラノ万博のテーマは「地球に食料を、生命にエネルギーを」と食をメインにしていました。
万博愛好家・藤井秀雄さん
食の展示館があったんですが、将来は人口が増えていくから全世界で食の取り合いになる、そうなったときに、昆虫食を食べるようになる可能性があるということが紹介されていました。昆虫には普段なかなか得られない栄養素が含まれていることなどが展示されていて興味深かったですね。

2015年のミラノ万博で展示されていた昆虫食の数々(写真提供:藤井さん)。
万博で提供中のメニューを藤井さんが体験! 各メニューの推しポイントも紹介
過去さまざまな万博で世界各国の料理に触れてきた藤井さん。そこで、ニチレイフーズが大阪・関西万博に出店した、冷凍技術を活用したレストラン「テラスニチレイ」で、おすすめの3品を実食してもらうことに! その味わいと特長をじっくり体験してもらいつつ、ニチレイフーズの大阪・関西万博担当(以下、万博担当)の原山高輝さんから、各メニューに込められた思いを伺いました。

「テラスニチレイ」でおすすめメニュー3品を前に、万博担当の原山さんと万博談義に沸く藤井さん。
まずは、冷凍炒飯×自動炒め機のマッチングによって生まれた「スペシャル炒飯」を実食。

『本格炒め炒飯®』を作るニチレイフーズの自信作「スペシャル炒飯」。
万博愛好家・藤井秀雄さん
何がスペシャルなのかと思ったら、冷凍炒飯は自動炒め機で仕上げの炒め調理が行われていたんですね。料理人が作った炒飯と変わらず、とってもおいしかったです。卵も塊にならずに炒められているし、焼豚もやわらかい。冷凍食品とは思えない味わいです。
ニチレイフーズ・原山さん
実は冷凍炒飯は、工場では半調理の状態で止めているんです。仕上げに自動炒め機でしっかり炒めることで、おいしくご提供できるよう、逆算して作られています。
万博愛好家・藤井秀雄さん
それはすばらしい開発力ですね。
ニチレイフーズ・原山さん
冷凍食品はおいしさを急速凍結して閉じ込め、いつでもおいしいものが安定的に生産できます。そこに自動調理の安定性をかけ合わせたのが、この「スペシャル炒飯」です。
次は、食後のデザートとして「凍ったまま食べられる今川焼」。

「テラスニチレイ」のロゴなどが印字されている「凍ったまま食べられる今川焼」。印字は全部で5パターン。
万博愛好家・藤井秀雄さん
これ、凍っているんですか? 普通の今川焼よりも、あんこがもっちりしていて、生地もぜんぜん硬くない。アイス感覚で食べられますね。
ニチレイフーズ・原山さん
万博期間は厳しい暑さも想定されるので、凍ったままアイス感覚で食べていただける今川焼を目指しました。凍りにくいあずきあんを採用し、生地の水分量を抑えるなどの工夫をしています。スーパーマーケットなどで販売している家庭用の『今川焼』とは全くの別物です。
万博愛好家・藤井秀雄さん
凍っているというと、カチカチな印象があるけれど、硬くもなくてやわらかくて食べやすい。「凍っているけどやわらかい不思議な今川焼」みたいなネーミングはどうですか?(笑)
最後は、「アセロラMixスムージー」。アセロラの果肉はもちろん、皮や種までまるごと使用したスムージーです。

ストローは紙製。店舗で使用するコースターは、アセロラの搾りかすを活用して作られており、環境に配慮。
万博愛好家・藤井秀雄さん
ビタミンCが感じられる健康的な味でいいですね。酸っぱすぎず飲みやすいです。
ニチレイフーズ・原山さん
アセロラの皮も種も入れて、全部食べきる(ホールフーズ)という考え方で開発したメニューです。アセロラはビタミンCなどの抗酸化物質を多く含んでいるので、健康面とサステナブルの両面を考えました。

「テラスニチレイ」ではそれぞれのメニューを単品で注文することも、3品セットで注文することもできる
ずばり、大阪・関西万博で注目される食はこれ!
2025年の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。「いのち」や「未来」に関連して、藤井さんが今回の万博で注目しているのは、内陸養殖、グルテンフリー、未来食、ロボットによる自動化、食の3D製造、健康食・免疫食です。
万博愛好家・藤井秀雄さん
海の幸の供給をどう安定化していくかという点で「内陸養殖」に注目。今後は陸地で育った魚が珍しくなくなるかもしれませんね。また今回ニチレイフーズさんが実装されている「ロボットによる自動化」。レシピをロボットに覚え込ませたら、いろんな食事を簡単に作ることができる流れになるのかなと思っています。
ニチレイフーズ・原山さん
昨今、どの業種でも人手不足の問題があります。今後海外の方を含めていろいろな方が飲食店で働かれると想定したときに、冷凍食品と調理ロボットを組み合わせることで、どんな人が作ってもおいしい料理が提供できれば問題の解消につながるのでは、と考えています。
万博愛好家・藤井秀雄さん
「食の3D製造」は少し勉強していました。山形大学の古川教授が研究されているもので、3D印刷と同じ考えですね。原材料をプラスチックではなく食材に変えた発想です。可能性があって面白みがありますよね。
ニチレイフーズ・原山さん
これは、まさに当社が協賛している「EARTH MART」で展示している内容ですね!ニチレイフーズは古川教授の技術協力を得て、規格外の野菜や今まで活用できていなかった食材を凍結粉砕して、価値を再発見することで、新しい食の可能性を探求する展示に協力しています。
大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」にシルバーパートナーとして協賛しているニチレイフーズ。「EARTH MART」とは、地球環境や飢餓問題と向き合いながら、日本人が育んできた食文化の可能性とテクノロジーによる食の進化を共有し、より良き未来へと導く「新しい食べ方」を来場者と共に考えるパビリオンです。
ニチレイフーズは、山形大学の古川英光教授の研究室と共創し、食品を急速凍結し、粉々にしてパウダー化する技術の展示や、凍結粉砕した食材と破砕米の米粉を成形して再びお米にした「再生米」の展示に協力しています。これまで廃棄してきたものなどを活用して、食の可能性を広げる展示を通して、未来に向けた新たな魅力や可能性を発信しています。

©EARTH MART / EXPO2025
「進化する冷凍食」の展示では、ウニの殻やワインの搾りかすなど、本来は廃棄されてしまうものを凍結粉砕してパウダー状にしたものを見ることができる。
ニチレイフーズが生み出した食トレンド
1970年の大阪万博以来、55年ぶりに出店したニチレイフーズ。当時はまだ馴染みの薄かった冷凍食品を使ったレストラン「テラス日冷」をオープンし、その後の冷凍食品の普及に貢献しました。

1970年大阪万博に出店した際の「テラス日冷」の様子。
冷凍食品の発展が、日本の家電製品にも大きく影響
現在では、外食産業はもちろん、家庭用でも冷凍食品はなくてはならない存在。家庭用については、冷凍庫に入りきらないとのことで、セカンド冷凍庫が発売されるほど冷凍食品の需要が高まっています。
万博愛好家・藤井秀雄さん
日本人の生活スタイルに合わせて、冷凍食品の果たす役割が拡張してきましたよね。私は以前家電メーカーに勤めていたので、まさに冷凍食品の発展が、冷蔵庫と電子レンジの商品開発に密接につながっているのを実感していました。核家族化、共働き夫婦によるまとめ買いに対応して冷蔵庫も大容量化、冷凍室も容量アップしていきましたから。
ニチレイフーズ・原山さん
まず、スーパーに冷凍食品売り場ができて、2ドアの冷蔵庫が登場し、冷凍食品が売れるようになり、商品数が増えて売り場が拡大、そして家庭用冷凍庫も大型化――。売り場・家電メーカー・冷凍食品メーカーが三位一体で発展してきたんですね。
万博愛好家・藤井秀雄さん
冷凍食品の登場で思い出すのは、やっぱり冷凍庫+電子レンジのセット。その流れで、1980年代後半には電子レンジと冷蔵庫を合体させた家電製品も登場したんです。あまりヒットしませんでしたが(笑)。
「未来の食」において冷凍食品が果たす役割とは
大阪・関西万博で、また新たな食のトレンドや食文化が日本に広まっていきそうですが、「未来の食」を考えたとき、冷凍食品はどのような役割を果たしていくのでしょうか。
万博愛好家・藤井秀雄さん
冷凍食品は、食材保存の観点からも、今後は食事に困っている国・地域への貢献に期待ができます。高齢化社会が進む中で、健康管理食としての展開にも期待しています。
ニチレイフーズ・原山さん
例えば凍結粉砕技術を活用することで、日本で余剰に取れたものを遠く離れた国に輸送するという「食の再配分」もできます。さらに、凍結粉砕すると体積が減るので、輸送の負担も軽くなる可能性があります。
万博愛好家・藤井秀雄さん
冷凍食品の将来としては、例えば味噌汁、ごはん、生姜焼きなど、栄養バランスのとれた定食セットが、電子レンジに入れて一度の調理ですべて完結するような商品ができるといいですね。
ニチレイフーズ・原山さん
当社のワンプレート商品「三ツ星プレート™」シリーズがそれに近いですね。冷凍食品や冷凍技術がお役立ちできる幅が広がる未来が来るといいなと思っています。今回の万博は、そういう想いで出店・協賛しています。
▼「三ツ星プレート™」シリーズなどのワンプレート商品はこちら
そこで、もし仮に、ニチレイフーズが50年後、再び万博に出店・協賛するとしたら、どのようなことを期待するかを藤井さんに聞きました。
万博愛好家・藤井秀雄さん
50年前に食べられていた料理が50年後に食べられる。食のタイムカプセルですかね。このタイムカプセルはニチレイフーズさんの冷凍技術があってこそ実現できることかなと思います。
最後に、これから大阪・関西万博に来られるみなさまに向けて、メッセージをどうぞ!
ニチレイフーズ・原山さん
国内はもちろん、海外からのお客さまも多く訪れるので、たくさんの方に召し上がっていただいて、日本のおいしさを世界に伝えたいです。ぜひ、テラスニチレイへお越しください。
万博愛好家・藤井秀雄さん
会場で「いのち輝く未来社会とは?」に思いをはせつつ、「EARTH TABLE ~未来食堂~」に立ち寄って、ぜひ食の未来を感じてください。
▼2025年大阪・関西万博の関連記事はこちら!
未来の食体験を大阪・関西万博で!ニチレイフーズの挑戦
ニチレイフーズは、2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」にシルバーパートナーとして協賛!
未来の食とテクノロジーが交差するこの場所で、ニチレイフーズは新たな食の可能性を提案します。
・未来の冷凍テクノロジー:冷凍パウダーから生まれる驚きのアイデアとは?
・未来の冷凍レストラン「テラスニチレイ」:55年ぶりに万博にレストランを出店!どんな未来食に出会える?
「食といのちの循環に触れ、未来へのヒントと出会う空想のスーパーマーケット」をテーマにした「EARTH MART」で、ニチレイフーズが描く未来の食の世界を体験しませんか?