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『本格炒め炒飯®』の品質やおいしさを支える最先端のAI技術をレポート

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ギネス世界記録™で「世界で一番売れている炒飯」(※1)に認定されたニチレイの大人気商品『本格炒め炒飯®』。発売以来、23年間売り上げNO.1(※2)を続ける裏には、品質向上や製造工程のブラッシュアップなどたゆまぬ進化の過程がありました。近年では最先端のAI技術を取り入れて、さらなる発展を遂げています。そこで今回、編集部が特別にニチレイフーズの「技術開発部門」を見学し、AI技術がどのように『本格炒め炒飯®』に活用されているのかをレポートします。

※1 記録名:最大の冷凍炒飯ブランド(最新年間売上) 対象年度:2023年
※2 インテージSRI+冷凍調理炒飯市場2017年3月~2024年2月 各年累計販売金額/インテージSRI冷凍調理炒飯市場2001年3月~2017年2月 各年累計販売金額

ニチレイフーズの技術開発を担う「技術開発部門」とは?

ニチレイフーズの「技術開発部門」では、研究開発、商品開発、装置開発のそれぞれのグループが連携し、試行錯誤を重ねながらおいしさと品質にこだわった商品を生み出しています。

そのなかでも、検品や異物混入防止などの安全面での視点から、最新のAI技術を活用した技術開発を行っているのが、装置開発グループ。独自に開発した装置の設計から導入まで一貫して取り組み、生産ラインの一部で実際に使用しています。

技術開発部門が入る建物の写真

JR京葉線千葉みなと駅から徒歩約8分の場所にある「技術開発部門」

▼ニチレイフーズの研究開発について詳しい情報はこちら
研究開発TOP – 冷凍食品・冷凍野菜はニチレイフーズ

手作業を補い、さらなる品質向上に欠かせないAI技術の進化

『本格炒め炒飯®』のおいしさの秘訣は、プロの工程を再現した「三段階炒め製法・改」。家庭ではなかなか再現できない高温で炒めることで、ごはん一粒一粒に卵をまとわせているから、電子レンジで温めるだけでパラパラのおいしさが味わえます。

『本格炒め炒飯®』が発売された2001年以前の冷凍食品の炒飯は、炒飯風の混ぜごはんに近いもので、パラパラにおいしく炒められた炒飯ではありませんでした。ニチレイ独自の炒め技術によって、家庭用冷凍炒飯として初めて炒めた炒飯として発売されたのが、『本格炒め炒飯®』なのです。すると、どうしても発生してしまうのが「焦げ」の存在でした。

その焦げを除去する作業を、これまでは人の目と手で行っていましたが、それに代わるものとして導入されたのが、AIとロボットを連動させた技術です。焦げを検知すると、ロボットのアームがのびてピンポイントで焦げを吸い取ります。

AIで焦げを除去している写真

AIとロボットを連動させ、焦げだけをピンポイントで吸い取る

焦げ取りAIロボットのカメラから見た焦げ

色や形状が似ていることから、識別が難しかった焼豚と焦げを識別できるように何度もAIに学習させた結果、焦げだけを検知できるように進化

このAIとロボットを連動させた「焦げ取りAIロボット」開発の背景には、人口減少による労働力不足や働き方改革、また、人の作業では統一がしにくい技術の差や、ノウハウの伝承の難しさなど、さまざまな課題がありました。

技術戦略部装置開発グループ・筒井泰之さん
技術戦略部 装置開発グループ 筒井泰之さん

短時間の作業なら人の目と手のほうが取れる確率は上がりますが、作業が数時間続くと、どうしても集中力が切れたり、精度が落ちたりしてしまいます。一方、AIの場合はずっと同じ確率で取り続けられるのが大きなポイント。省人化と品質向上の両面を目指して開発しました。

焦げ除去以外にもAIの技術は活用されています。『本格炒め炒飯®』にはさまざまな具材が入っていますが、その中でもメインの具材は卵と焼豚。具材が均等に入っているかどうか、その割合をそれまでは人の目でチェックしていましたが、ここにもAIの技術を導入しています。

卵と焼豚の割合を検知するAI

ピンクや青で表示された卵や焼豚の割合をAIが自動で検知

技術戦略部装置開発グループ・筒井泰之さん
技術戦略部 装置開発グループ 筒井泰之さん

まずは卵や焼豚がどれなのかをAIに学習させて、その次に適正割合が何%なのかを学習させる、この2つがとても大きな課題で、乗り越えなければならないハードルでした。

『本格炒め炒飯®』の焦げ取りAIロボット誕生のルーツは?

『本格炒め炒飯®』の焦げ取りAIロボットや具材の割合を検知する技術、袋のシール部分の噛み込み検知技術の開発は、それ以前に開発が進められていた、鶏肉の血合い除去技術へのAI活用にルーツがありました。

唐揚げなどの原料である鶏肉。鶏肉の血合い(毛細血管内に残った血液塊)は、唐揚げにすると黒くなってしまうので、製造過程で取り除かないといけないもの。また、生産者のほうで羽を除去して出荷しているものの、どうしても残ってしまう羽がありました。

それらをすべて人の手で取り除く作業を行っていましたが、立ち仕事で重労働なうえ、こちらも人のスキルによって作業結果に差が出やすいため、ノウハウの伝承が難しいという課題がありました。

手作業で血合いや羽を除去している写真

多くの人の目と手によって取り除かれていた羽と血合い

そこで、2017年から省人化と精度アップを目指してAI技術の開発がスタート。ブラックライトで羽を光らせたり、画像の補正によって血合いを際立たせたりした画像を撮影し、AIに学習・判定させることで、その精度を向上させていきました。

鶏肉の血合いの写真

赤い点線で囲まれた部分が血合い。このような画像を何枚も用意してAIに学習させることで精度をアップ

ブラックライトで羽を光らせた写真

ブラックライトで羽を光らせて、その写真を撮影してAIに反復学習させた

今でこそAIという言葉は一般的に広く認知されていますが、開発がスタートした2017年当時は、まだ産業全体にAIがそこまで浸透していない時期。ニチレイフーズではAIに学習させるためのカメラの技術やAIの技術の蓄積が多くなかったため、当初は手探り状態でした。

技術戦略部装置開発グループ・吾郷友亮さん
技術戦略部 装置開発グループ 吾郷友亮さん

AIが使われていなかった時代に、一からプロジェクトを進めるために、カメラや光学機器の展示会に行ったり、光の基礎を学んだりもしました。海外の論文や社内の詳しい人からの意見も参考にしましたね。

約2年の歳月をかけて、AI技術を駆使した鶏肉の血合いや羽の除去システムを実現しました。人の手で羽や血合いを除去する際にムダな部分まで除去していましたが、AI技術を導入した結果、除去量が約70%削減! この成功体験が『本格炒め炒飯®』の焦げ除去技術などに展開される結果となったのです。

技術戦略部装置開発グループ・下坂和花奈さん
技術戦略部 装置開発グループ 下坂和花奈さん

まだまだAIも進化の途中なので、最初から100点を取ることを目指すのではなく、現場に導入し活用しながらブラッシュアップしてきたことが、商品の品質向上につながっています。今後はこの技術を、野菜の原料検査にも広げていけたらと、さらなる開発を続けています。

鶏肉の羽や血合い除去を目的に発展したAI技術が、その後『本格炒め炒飯®』に活用されるに至るまでに、さらに数年の歳月を費やしましたが、確実に省人化、品質向上に寄与しています。今後も新たな展開を目指して、AI技術の開発を進めていきます。

▼ニチレイフーズの装置開発について詳しいプロジェクトストーリーはこちら
AI活用で鶏肉検査を自動化!未知の領域に挑んだ装置開発 – 冷凍食品・冷凍野菜はニチレイフーズ

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