プロの目から見た『美味しい炒飯』とは何か?また、美味しくつくるためのこだわりは何か? 中華料理の技術に長けた、2人の有名料理人『新橋亭 田中総料理長/礼華 新山総料理長』よりそれぞれお話をお伺いしました。
(聞き手:株式会社ニチレイフーズ
商品企画担当 奥村)
新橋亭/田中 総料理長 炒飯は「炒める」「焼く」という中華料理にとって基礎となる調理があるため、料理人にとって重要なメニューですね。シンプルなだけに、実に奥が深いです。美味しい炒飯を作るためには熟練の技が必要ですが、ウチの若い料理人もうまく作っています。
若手には、まず賄い料理をつくることから始めてもらうんですね。その際、例えば焼きそば(両面焼きのあんかけタイプ)なんかをリクエストする。そうすると、油の使い方や焼き時間の加減などを覚えていきます。中華鍋の温度がわかるようになれば、炒飯を作る腕前はグッと上がります。経験を積んでコツを掴めば、鍋振りは上手くなっていきますよ。
全ての工程は3~4分で手早く完成させます。そのためには、調味料や具・薬味などをそれぞれ事前に用意しておくと効率が良い。先ずは中華鍋に油をなじませ、その後、一旦油を戻し「新しい油→卵→ご飯」の順に投入して、ごはんの一粒一粒に卵がコーティングさせるように炒めていくのです。このあたりが技のポイントですね。
⇒『本格炒め炒飯®』は、このプロの技を研究して工程を再現しました。
ごはんと卵だけを最初に炒め、調味をしたのち、250℃以上の高温熱風で
ごはんのひとつぶひとつぶをパラパラにしていくのです。
プロの工程を再現した『三段階炒め製法』
礼華 / 新山 総料理長 「炒飯」は、ベーシックな中華料理の中でも、作る人によって味が変わってくるメニューの代表格ですね。おかずでは「麻婆豆腐」が該当します。同じ調味料を同じ分量だけ使ったとしても、美味しく作れるようになるにはセンスや経験が必要です。
炒飯をつくるポイントは「強い火力」と「素早い調理」、うちでは、完成までトータル1分半ぐらいで仕上げてしまいます。そのためには、例えば加熱が必要な具材などはあらかじめ火を通しておき、入れやすいように厨房の周りに小分けして準備しておくとスムーズですね。ごはんや具材は均一に熱が加わっている必要がありますので。
炒める際は、「油→卵→ごはん」の順に入れて行きます。ご飯を投入するとき、卵は半熟の状態になってないと、美味しくパラパラにはならないですね。そこから素早く炒めていくのですが、中華鍋で「あおって」「かえす」だけではなく、お玉の背などを使って鍋肌にごはんを当てるなど、うまく中華鍋の高温空間を利用します。そのイメージは「炒めて、ほぐす・まわす」という感じでしょうか。
⇒そのときの表面温度は250℃以上になっているそうです。
高温ですよね。実際は300℃を超えているのではないかと思います。鍋や油は良く使いますので感覚的にわかりますよ。揚げ物をする際も近くに手をかざして、適温かどうか確かめたりします。高温で炒めて水分を飛ばすことで、炒飯は香ばしくパラパラになるのです。
熟練の技・・・そうですね、経験を積めば積むほど上手くなるでしょうけど、若手でもセンスが良ければ2~3年ぐらいで美味しい炒飯が作れるようになりますね。うちの店でも「まかない」などをつくることで日々訓練を重ねています。
新橋亭 / 田中 総料理長 当時、最初に『本格炒め炒飯®』(※発売した2001年頃)を食べたときの衝撃が忘れられません。冷凍食品の炒飯がここまで美味しいとは思わなかった。味付けはとてもシンプルでまっすぐ・・・、その出来栄えに家内と感動したことを覚えています。今回の『本格炒め炒飯®』は、その頃のものと比べて味に厚みが出て、全体的に上品な仕上がりになっていますね。ただ、基本的に炒飯はシンプルなメニューであるので、発売当初のまっすぐで素朴な良さを失うことなく進化を続けてもらいたいと思います。わたしも家内も『本格炒め炒飯®』の大ファンですよ。
礼華 / 新山 総料理長 一番スゴいなと思ったのは、焼豚が大きく切ってあること。具材の食感がしっかり出せていて、とても良いと思いました、贅沢ですね。味付けも炒飯全体に馴染んでおり、美味しいです。好みになるかもしれませんが、味はもう少し抑えても良いかもしれません。
うちのお店ではどんなに忙しくても、一度に炒飯を作るときは二人前以下にしています。あまり多くのご飯や具材を炒めてしまうと、せっかくの火力が損なわれてしまうことがあるので。ニチレイさんの炒飯は、大きな工場で大量に作っておられるのにちゃんとパラパラで本格的な炒飯が出来上がっている。ある意味、私にとってはそんな「技」のほうが不思議です(笑)
新橋亭 / 田中 総料理長 家庭でも、炒飯が上手く作れる人は全般的に料理が上手なのではないでしょうか。
炒飯は「強い火力がポイント」と言いますが、家庭のコンロで作る場合は少し注意が必要です。序盤でフライパンに煙ができるくらいの強火となると、卵が先に固くなってしまうことがあるのです。家庭の火力でパラパラに仕上がるコツは、先に溶いた卵とご飯を混ぜておき、それをそのまま炒めてしまうこと。こうすると「ごはんの一粒一粒に卵をコーティング」された本格的な炒飯がご家庭でも作れると思います。
礼華 / 新山 総料理長 炒める際、フライパンをコンロからなるべく離さないことが大切です。炒飯は強火が重要ですが、家庭用コンロの火力は限られていますので。浮かさずにしっかりと火をあて、ヘラなどを使って丁寧に炒めていくと熱は良く伝わります。また、一度に調理する量にも気をつけましょう。あまり多く作らず、むしろ「ちょっと少ないかな」と思うぐらいでちょうど良いかもしれません。どちらも、フライパンの熱を効率よく伝えるようにするためのコツです。
事前準備としては、ごはんと卵をまぜておくとパラパラの炒飯が作りやすいです。ジャーに入った適温のご飯が良いかな。冷えたままのご飯だと、フライパンに入れたときに全体の温度が下がってしまうためおすすめできません。具材も、あらかじめできるものは加熱しておきましょう。季節の具材などをいれながら、色々な炒飯が作れるようになると楽しいですよね。
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新橋亭 / 田中喬 総料理長
日本中国料理協会 相談役(元副理事長)
中国料理 新橋亭 新館
東京都港区新橋2-4-2
TEL:03-3580-2211
http://www.shinkyotei.com/
昭和21年の開業以来、多くの人から愛されている新橋亭。
北京料理の真髄を継ぐその味は、“繊細にして華麗”です。
こだわりの名菜でお客様をもてなします。 -
礼華 / 新山 重治 総料理長
礼華 青鸞居 青山
東京都港区南青山2-27-18 パサージュ青山1F
TEL:03-5786-9399
http://www.rai-ka.com
東京・青山通りから異国情緒あふれる小道を入った先に、
ヌーヴェルシノア『青山 礼華 青鸞居』があります。
伝統を受け継ぎつつ、時代の息吹を活かした豊かで新しい中華スタイルが楽しめます。