ニチレイの人気商品『本格炒め炒飯®』が今年で20周年! 発売以来、20年連続で売上No.1(※)という、驚異的な記録を打ち立てました。その人気の秘訣を探るべく、ニチレイ本社を訪ねると、“中の人”こと歴代担当者たちが『本格炒め炒飯®』愛を止めどなく語ってくれました!
30億円をかけた大リニューアルエピソードから、イタメくん誕生秘話まで、ざっくばらんな話題が飛び出した座談会。読めば『本格炒め炒飯®』がもっと美味しく感じられること間違いなし!
※冷凍調理・炒飯カテゴリー販売金額(累計)インテージSRI(2001年3月〜2021年2月)
今回の座談会は、十分に感染予防対策をしたうえで実施しています。
【参加者プロフィール】
森さん
米飯開発の生き字引:森公博さん
商品開発部国内チキングループリーダー
2010年~2014年、『本格炒め炒飯®』の開発を担当
小林さん
『本格炒め炒飯®』を継ぎし者:小林禎子さん
商品開発部米飯グループ
2016年12月~現在、『本格炒め炒飯®』の開発を担当
篠塚さん
米粒1粒1粒にこだわる盛りの女王:篠塚啓子さん
マーケティング部パッケージンググループ マネジャー
2014年~現在、『本格炒め炒飯®』のパッケージを担当
渡辺さん
イタメくんの生みの親:渡辺千春さん
マーケティング部マーケティンググループ グループリーダー補佐
2003年夏~現在まで、『本格炒め炒飯®』の広報業務・プロモーション等を担当
蕪山さん
鍋振りの達人&炒飯マニア:蕪山亮介さん
研究開発部食品科学グループ プロフェッショナル
2006年~2011年、2017年~2021年3月、『本格炒め炒飯®』の開発を担当
とにかくプレッシャーがすごい?歴代担当者から見た『本格炒め炒飯®』とは
――発売以来20年売上No.1を維持してきた『本格炒め炒飯®』ですが、実際に商品作りに携わっている “中の人”にとってはどんな存在でしょうか?
蕪山さん
僕のイメージは、想定を大きく超えるスピードとスケールで伸びていく……まるで大谷翔平さんのような存在ですね。
森さん
大谷翔平とは言い得て妙かも。とにかくニチレイの大看板なので、担当者としては絶対に失敗できないというプレッシャーが常につきまとう商品ですよね。
渡辺さん
担当に任命されて震えた人もいるかもしれません(笑)。
篠塚さん
私もパッケージ担当を任命されたときは、本当に自分でいいのかなって悩みましたね。
小林さん
私は、担当になったばかりの頃は事の重大さを理解していなくて、時間とともに「あれ? これは大変なことになったぞ」って(笑)。なにしろ、『本格炒め炒飯®』は追いかけても、追いかけても、追いつけない大先輩というイメージの商品ですから。
渡辺さん
『本格炒め炒飯®』の存在感がひしひしと伝わる例えですね。冷凍庫にいてくれるだけで安心感のある、“お父さん・お母さん”のような一面もあると思いますよ。
――“中の人”にとっての『本格炒め炒飯®』の存在感がひしひしと伝わってきます。ちなみに、「20年連続売上No.1」って、どのくらいすごいんですか?
渡辺さん
私が知っている限りで、『本格炒め炒飯®』以外に20年連続売上No.1を記録している冷凍食品は、業界全体を見渡しても存在しませんね。
森さん
“冷凍炒飯戦争”と呼ばれて市場が盛り上がった時期があったけど、あの時は社内が一瞬ザワザワしましたね(笑)。
――ディフェンディング・チャンピオンの苦労を感じます……。
蕪山さん
初代の人たちが作った“日本初の炒めた冷凍炒飯”というブランドや、積み重ねてきた売上No.1の実績を守りつつ攻めるというか、進化していかないといけませんからね。炒飯の開発担当から外れた今でも、『本格炒め炒飯®』のことは気になるし、炒飯への愛も変わっていません。
――今でもやはり気になるんですね。
蕪山さん
棚の中でパッケージがきちんと見えるように並んでいるか確認したり、怪しくない程度にお客様を観察したりはしていますね。これはみんなそうじゃないかな?
篠塚さん
わかります。カゴの中に『本格炒め炒飯®』を入れている人をスーパーで見かけると、つい心の中でお礼を言っちゃいますね。
小林さん
こっそりレジまでついて行って、購入するまでを見届けることもあります。ちなみに、うちの祖母は冷凍食品売り場で、「この炒飯美味しいのよねぇ」って周りの人に聞こえるぐらいの声で独り言を言いながら買っているらしいです(笑)。
――そんなふうに『本格炒め炒飯®』が愛される理由ってどんなところにあるのでしょう?
森さん
やっぱり手軽で美味しいっていうのが一番だと思います。
蕪山さん
炒飯って美味しく作るためには技術や火力がいるので、家で本格的なものを作るってなるとなかなか難しいんですよね。
渡辺さん
『本格炒め炒飯®』の味と手軽さを知ってしまうと、もう自分で炒飯を作らなくていいかな、って……(笑)。実家の炒飯が食べたくなったり、有名店の炒飯が食べたくなったりするように、『本格炒め炒飯®』が食べたい! と思ってくれる人も増えているようです。本当にありがたいことですよね。
年間120食の食べ歩き。並ならぬ熱意で正解なき炒飯の世界を戦い抜く
――『本格炒め炒飯®』って発売から20年間、実は毎年のようにリニューアルされているとか。
森さん
鉄鍋で作ったできたての炒飯をお店で食べた時と比べると、やっぱり違う点っていうのがあって。その差異を少しずつ埋めていくというイメージで、リニューアルを続けています。
小林さん
変えすぎると『本格炒め炒飯®』じゃなくなっちゃうし、でも変え続けなければいけない。そのさじ加減がすごく難しいですよね。
蕪山さん
おかげさまで、販売も好調に伸びていますが、それを維持するためには、常に美味しく進化し続けないといけないんです。まだまだお店で食べるものとは違う、もっと美味しくなるはずだっていう思いも常に頭の中にあって……。
――まるで「炒飯の理想」を追い求めるような、果てしない道のりですね。商品開発の過程が哲学のようにも思えてきました……。そういった改良点って、どのように見つけていくのでしょうか?
蕪山さん
炒飯が特集されるテレビ番組は必ず録画して、美味しいと紹介された店には必ず食べに行っていましたね。最高で年間120食以上の炒飯を食べて、それを自宅の中華鍋で再現しようとするチャレンジの中で、常に美味しい炒飯を追い求めていました。
森さん
蕪山さんは仕事で『本格炒め炒飯®』を毎日食べたうえで、さらに会社帰りにもお店で炒飯を食べてますから。
蕪山さん
ラーメンや餃子が有名な中華屋さんでも、メニューにあればとりあえず炒飯を頼むっていうのが、炒飯チームのお約束なんです。
渡辺さん
骨の髄まで炒飯人間ですね。
篠塚さん
お子さんが生まれた後も、蕪山さんのパソコンのデスクトップ画像が炒飯の写真のままで……。あれを見たとき、「この人本物だな」と思いました。
蕪山さん
一回、きれいな風景写真に変えたんだけど、「俺、大事な何かを忘れてる気がする…」と思って、また最近炒飯画像に戻しました。
パッケージデザインは“米粒1粒”にまでこだわる
――こうして炒飯が常にアップデートされていくのと同時に、パッケージも細かくリニューアルされていますね。
篠塚さん
パッケージのビジュアルで商品のことを覚えている方も多いので、発売当初のイメージを崩さないように、しかし、多いときでは半年に1回リニューアルをして、時代感に合わせたパッケージを目指しています。今年は20周年を記念して、おめでたい感じにしました。
渡辺さん
確かに背景の紙吹雪がおめでたい。
森さん
米粒の感じとかも、よく見ると微妙に変わっているんだよね。
篠塚さん
あ、お気づきですか。実はお米の飛び方が年々派手になっています(笑)。これ、お米1粒1粒を別々に撮影して、CG合成しているんですよ。もともとは普通に撮影していたのですが、「この米粒をこっちに移動させて」とか「もうちょっと米粒を増やせない?」といった要望が多くて……。計算し尽くした米粒の散り方と、特性インクの“『本格炒め炒飯®』レッド”で、売り場での存在感が増したのではないでしょうか。
――存在感というと、「イタメくん」の存在感もすごいですよね。
渡辺さん
“炒飯の妖精”として2012年3月に登場以来、10年弱……草の根活動が功を奏してきました。Xのフォロワー数も4万8千人を超えて本当にうれしいです。
森さん
ところでキャラクターのモデルって渡辺さんなの?
渡辺さん
違いますよ! 目の離れ具合はたしかにそうかも知れませんが……。
――銀色のコスチュームは何をイメージしているのでしょうか?
渡辺さん
炒飯を炒める、鉄鍋の色ですね。戦隊モノとかアイドル系とか、本当にいろんなデザインを検討していたんですけど、幅広い世代と仲良くなれそうなキャラクターを、ということで今のイタメくんになりました。X(旧Twitter)も、『本格炒め炒飯®』の話ばかりするんじゃなくて、まずイタメくんに親しみを持ってもらって、それから彼の好きな『本格炒め炒飯®』の話を聞いてもらおうかな、と。
炒飯をパラパラにするために、30億円かけちゃいました
――毎年のようにリニューアルを重ねている『本格炒め炒飯®』ですが、2015年、30億円をかけた大改革が話題になりました。
森さん
そもそも『本格炒め炒飯®』が売れ筋商品なので、本当に変える必要があるのか、社内の中でも様々な意見がありました。大改革そのものの前に、リニューアルの必要性を認めてもらうことが大変でした。でも結果として、大きな投資をしてでも、守るべき・育てていく価値がある商品として、上層部が決断してくれたっていうのはうれしかったですね。
渡辺さん
当時、広報として「リニューアルに30億円かけました」って言ってましたけど、冷静に考えると1袋300~400円の商品に30億って、ちょっと普通じゃないですよね。
蕪山さん
30億円あれば、毎日違う車に乗って遊べちゃいますね。
篠塚さん
私は3億円もらえたら十分です。
――実際にその30億円でどのような改良がなされたのでしょうか?
森さん
例えば、それまで外注のものを使っていた焼豚を自社開発して、さらにその煮汁を使うことでもっと風味を良くしたり、“炒め機”を変えてパラパラ感を増したりとかですね。実際商品になったときにどのような反応をされるかドキドキでしたが、社外の評価テストで良い結果が出た時は本当にうれしかったですね。
『本格炒め炒飯®』は続くよ、どこまでも……
――20周年を迎えて、改めて心境をお聞かせいただけますか?
小林さん
担当になって改めてすごいなって感じたのが、『本格炒め炒飯®』には本当に様々な部署、たくさんの人の、いろんな思いが詰まっていますよね。20年という歴史もあって、『本格炒め炒飯®』マニアが社内に多すぎる……(笑)。
渡辺さん
関わり方はそれぞれですけど、ニチレイ社員なら『本格炒め炒飯®』に何らかの形で関わりますからね。退職したOBの方や、蕪山さんのように開発を離れた人にとってもなんだか気になってしまう。それだけ存在感が大きい商品なんです。
――そして今、まさに開発担当として関わっているのが小林さんなんですね。
小林さん
森さんや蕪山さん、ほかにもさまざまな部署の方々に日々アドバイスをいただいています。森さんは困ったことがあったら何でも聞ける、まさに生き字引的存在ですし、蕪山さんからは炒飯への愛と中華鍋の正しい“鍋振り”を叩き込んでもらいました。本当に頼れる先輩です。
森さん
蕪山さんの鍋振りを小林さんが継承して、そしてさらに後輩へと引き継いで……。炒飯開発の心が脈々と継承されているのが心強いですね。
――20年連続売上No.1の絶対王者として、気になる『本格炒め炒飯®』の次のアクションは?
小林さん
今はまさに、次の25周年に向けてのコンセプトを作っているところですね。
森さん
25年経つと、購買層の世代も変わってきていると思うんですよね。子どもの頃から食べてくださっていた人が親世代になって、子どもさんと一緒に食べていただけたりしているのかな。親から子へ伝えられていくものの中に『本格炒め炒飯®』がある、そう考えると感慨深いですよね。
蕪山さん
25周年も連続売上No.1をキープできているか、今からドキドキしますね〜。
篠塚さん
25周年パッケージでも、『発売以来売上No.1』のロゴが入れられるよう、がんばりましょうね……!
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