2024年に設立10周年を迎えたニチレイフーズの船橋第二工場。『ミニハンバーグ』や『お肉たっぷりジューシーメンチカツ』『ささみチーズフライ』などの家庭用冷凍食品をメインに製造しています。中でも『ミニハンバーグ』はこんがり&ジューシーで冷めてもおいしいと人気で、発売以来、50年以上のロングセラー商品。今回、編集部が工場見学をして、独自の製法やおいしさの秘密に迫るとともに、社会課題や地域貢献への取り組みをご紹介します。
ニチレイフーズ船橋第二工場ではどんな商品が製造されているの?
ハンバーグをこんがり&ジューシーに仕上げる独自製法
デジタル化を促進して品質管理体制を強化
プラスチック使用量やCO2排出量を削減するさまざまな取り組み
地域に貢献する工場見学イベントと子ども食堂への支援
ニチレイフーズ船橋第二工場ではどんな商品が製造されているの?
2014年1月に設立した船橋第二工場。数あるニチレイフーズの工場の中でも、ITを活用した業務効率化とロボットを活用した手作業の自動化を推進している工場のひとつです。

千葉県船橋市高瀬町の京葉食品コンビナートの一角に位置し、首都圏へのアクセスに恵まれているニチレイフーズ船橋第二工場
『ミニハンバーグ』のほか、『三代目たいめいけん監修ハンバーグ』『お肉たっぷりジューシーメンチカツ』『ささみチーズフライ』などの家庭用冷凍食品を主に製造しています。
『ミニハンバーグ』は、外はこんがり香ばしく、中はふっくら冷めてもやわらかいのが特長で、50年以上のロングセラー商品です。今回はこの『ミニハンバーグ』が製造される様子を見学しました。
ハンバーグをこんがり&ジューシーに仕上げる独自製法
さっそく『ミニハンバーグ』が作られている現場を見学。塊肉をミンチにするところから始まり、他の具材と一緒によく練り込んだ後、その肉だねを機械によって丸い形に整えます。

焼く前の肉だねは俵形ではなく丸い形
丸く成形された肉だねは、焼く工程に移ります。この焼く工程に、『ミニハンバーグ』のおいしさの1つ目の秘密が隠されていました。独自の「Wベルトグリル製法」によって、表裏から一気に焼くことで、肉汁が外に漏れ出るのを防ぎ、ハンバーグの中にしっかり閉じ込めます。これが、食べたときのジューシーさにつながっています。

「Wベルトグリル」に運ばれた肉だねは、表裏から一気に焼き上げられる

「Wベルトグリル製法」で焼き上げられたハンバーグ。こんがりと焼き目のついたハンバーグに!
次の工程に、『ミニハンバーグ』のおいしさの2つ目の秘密が隠されています。両面を一気に焼いた後、高温のスチーマーによって中まで火を入れる工程に移ります。蒸気で加熱することで、ふっくらした中身に仕上げ、冷めても硬くなりにくくしています。

スチーマーから出てきたハンバーグ。あたりにはハンバーグのおいしそうな香りが立ち込める
船橋第二工場商品開発グループ 窪田さん
まず表裏を同時に焼いて肉汁をハンバーグの中に閉じ込めて、そのあと、中まで蒸気で加熱することで、外はこんがり、中はふっくらジューシーに仕上がるんです。また、最初に「Wベルトグリル製法」で焼くことで、おいしさはもちろん、焼き時間の短縮も同時に実現しています。
写真でご紹介してきたように、成形された肉だねも、おいしそうな焼き色の付いたハンバーグも、次から次へと機械の上を自動で流れていきます。そして、ハンバーグは冷凍機で冷凍され、トレイに詰める工程へ。ここで最新鋭の機械が活躍! AIロボットと高性能カメラを活用したアームロボットによって、一つひとつトレイに素早く詰められていきます。

運ばれてくるハンバーグを一つひとつ吸引しながらトレイに詰めるアームロボット

アームロボットによってきれいに詰められた『ミニハンバーグ』の数々

次々と包装されていく『ミニハンバーグ』
この後、段ボールに詰める工程に移り、出荷を待ちます。
デジタル化を促進して品質管理体制を強化
ロボットにより手作業工程の自動化を推進している船橋第二工場では、情報技術を活用した品質管理体制にも注力しています。そのひとつが、ニチレイフーズが独自に開発したシステム「PAS」(Production Assistance System)。冷凍食品にはさまざまな原料が使われますが、その原料の調達から生産、そして消費まですべての工程記録をこの「PAS」に残し、電子化しています。さらに、船橋第二工場の「PAS」は、工場内の各機械の設定情報や温度履歴などもトレース情報として結びつけており、正しい状態で生産されているかをリアルタイムで管理しています。
船橋第二工場長・富澤さん
「PAS」を用いることで、商品がいつどのような原料・工程で作られたものなのか、辿ることが可能です。万が一、問題が発生してもいち早く対処できる仕組みになっています。安全・安心な商品をお客様にお届けする上で、「PAS」は欠かせない存在です。
また、食品の安全性を高めるために、工場内外に多くのカメラを設置。もともと不審者侵入防止や状況記録を目的に設置されましたが、現在は現場の状況把握がしやすいよう、事務所に大型モニターを設置してカメラから送られてくる複数の画像をリアルタイムで映しています。これによって、万が一異常が発生した際、事務所からも早期に発見し、解決につなげることができます。

事務所に設置された大型モニターで、工場内の様子や生産状況などのデータをチェック
プラスチック使用量やCO2排出量を削減するさまざまな取り組み
船橋第二工場では、プラスチック使用量やCO2排出量の削減など、環境対応の取り組みを強化しています。
新方式の採用で、フィルム包装の使用量を大幅カット
これまでは、製品のフィルム包装のシールには従来ヒーターを使った「ヒートシール方式」が用いられていましたが、『ミニハンバーグ』で採用した包装機には「超音波シール方式」を使用。「ヒートシール方式」に比べて、シール面の幅を小さくできるのが特徴です。
これにより、包装フィルム材の使用量を約4%削減でき、プラスチック使用量の削減につながっています。現在は『ミニハンバーグ』のみですが、今後ほかの商品についても順次「超音波シール方式」に切り替えていく予定です。
2025年より太陽光発電を新設し使用電力を削減
また、工場の一部の屋根には太陽光パネルを設置し、2025年5月から稼働予定。これにより、発電量は1日あたり1800kWh、1年間で約176tのCO2が削減できる見込みです。

2025年5月に稼働予定の太陽光発電のイメージ写真
船橋第二工場長・富澤さん
手作業からの自動化やフードロスの削減、エネルギーの効率化など、生産効率を上げるほど、CO2の削減につながります。「太陽光の活用」「エネルギーの効率化」の2軸でCO2削減を推し進めていきます。
地域に貢献する工場見学イベントと子ども食堂への支援
新型コロナウイルス感染症の流行前は定期的に行っていた工場見学ですが、コロナ禍は開催を見送っていました。それが2024年8月に復活し、船橋市と協同で「夏休み!工場見学で環境とものづくりについて楽しく学ぼう!」教室を開催することに! 実際に冷凍食品が作られている現場の見学はもちろん、冷凍食品にまつわるクイズや試食会、環境への取り組みやSDGsの活動紹介など充実の内容で、29組の親子を招待して行われました。

見学者用通路から『ミニハンバーグ』を焼く工程を見学。なかには熱心にメモを取る姿も

『ミニハンバーグ』のほかに『本格炒め炒飯®』や『今川焼』なども提供された試食会
船橋第二工場長・富澤さん
計画時は船橋市と協同のイベントであり地域貢献を目的にといった、かしこまった気持ちで取り組みましたが、実際にやってみると、純粋に実施してよかったと心から感じました。帰り際には、子ども達から「楽しかった、おいしかった」との声とあわせて、「将来ニチレイで働きたい」とのうれしい声も頂き、工場メンバーたちのモチベーションにも繋がり、私自身も心から楽しめるイベントになりました。
実際に参加した親御さんたちの感想を、一部ご紹介します。
「衛生面を非常に徹底してやっている印象で、ニチレイの冷凍食品への安心感が高まりました」
「加工工程で出てしまう廃棄物も飼料や肥料に再利用していて、すごく環境に優しい取り組みをされていることに感心しました」
「環境への取り組みについて学ぶことができてよかったです。工場の方々の雰囲気がよく、親子で夏休みのよい思い出になりました」
「冷凍食品も工場も、今までは機械的な人間味のないイメージでしたが、今回工場見学に参加して、温かみのある社員の皆さんの姿を見て、イメージが変わりました」
工場見学イベントのほかに、2021年9月から継続して行っているのが、船橋市内の子ども食堂やフードバンクへの冷凍食品の寄贈です。寄贈するのは、ケース未達品と呼ばれる、梱包用段ボール1箱分に満たなかった『ミニハンバーグ』をはじめとする船橋第二工場で作っている冷凍食品。そのほかにも、年に1回、船橋市と子ども食堂が協同で行っているイベントにも、寄贈を続けています。
船橋第二工場長・富澤さん
船橋でもの作りをしている工場としての地域貢献、そして千葉県の子育て世代の応援、フードロス削減、従業員の意識向上を目指してスタートした取り組みです。
船橋第二工場商品開発グループ 窪田さん
イベントには私たちも参加して、調理した冷凍食品をお子さんや親御さんに提供するんですが、「おいしいね!」「今度、これお弁当に入れてね!」など、お子さん、親御さんに喜んで食べていただける姿を見られるのは大変嬉しいことですね。
最後に、船橋第二工場についての思いやこれからの抱負について、工場長の富澤さんにお話を伺いました
船橋第二工場長・富澤さん
お弁当向けの商品を作っている工場なので、お弁当を食べる世代のお子さま、ご家族に、安全・安心な商品を作っていることを知っていただくと同時に、それを実証していかなければなりません。その手段のひとつが品質管理のデジタル化や作業の自動化だと思っています。最新鋭のデジタル化、自動化工場にして、安心安全な食品を提供し続けられる工場にしていきたいですね。そして、それを見ていただけるような環境づくりを少しずつ進めていきたいと思っています。
※「工場見学で親子環境教室」は招待制のイベントです。工場見学の一般募集は現在行っておりません。