価格的にもいちごが手に入りやすくなる旬の時期。「作ってみようかな」と思っても、レシピがいろいろあってどれがいいのかよくわからない…
そこで、いちごジャムの代表的な3つのレシピ「鍋」「電子レンジ」「冷凍いちごを煮る」の特徴を、ジャムに詳しいお菓子研究家の飯田順子さんが解説。ジャム作りに関する素朴な疑問にも答えます!
【いちごジャムレシピ】鍋・レンジ・冷凍いちごの違いは?
タイプ | 味・食感など | 調理時間 | 賞味期限 |
---|---|---|---|
①鍋 | 果肉のフレッシュ感&高級感。酸味と甘味のバランスが良い。 | 約45分 | 6ヵ月 ※常温未開封の場合。開封後は冷蔵で2週間程度 |
②電子レンジ | サラッとしたソース状。酸味が弱めで他の2品より甘みが強め。 | 約30分 | 冷蔵で1週間 ※長期保存不可 |
③冷凍いちご | 生のフレッシュ感はないが、果肉の食感はある。生よりまろやか。 | 約20分 | 6ヵ月 ※常温未開封の場合。開封後は冷蔵で2週間程度 |
最もメジャーないちごジャムのレシピは「鍋」での加熱レシピ。初挑戦で失敗したくないときや、手早く少量ずつ作りたいときは「電子レンジ」のレシピがおすすめ。旬以外の時期にもジャム作りを楽しみたいときは「冷凍いちご」を鍋で煮るレシピのがおすすめです。
【いちごジャムのレシピ①】「鍋」で煮る
いちごの粒感やフレッシュ感を味わいたいならこのレシピがベスト。果肉をゴロゴロ残すか、粒感のないなめらかなジャムにするか、好みで調整できるのもメリットです。少量だと焦げ付きやすくなるので、いちごは250g以上で作るようにしましょう。
材料
作り方
1 いちごは洗ってヘタを取る
2 鍋にいちご、グラニュー糖、レモン汁を加えて混ぜ、20分おく
砂糖をまぶしてしばらくおくといちごから水分が出て、焦げにくくなる。
3 強火にかけ煮立ったらかき混ぜる。中火にしてアクを取りながら5〜6分煮詰める
4 いちごを一旦取り出す
ここで取り出すのは、いちごの粒感を残すため(粒感のないなめらかなジャムにしたいときは、取り出さずにそのまま10分煮詰める)。
5 鍋の汁を混ぜながら、弱火で10分ほど煮詰めてとろみを付ける
ヘラでかき混ぜたときに鍋底が見えるようになったら、とろみの付いたサイン。
6 取り出したいちごを戻し、ひと煮立ちさせる
7 できあがり
【いちごジャムのレシピ②】「電子レンジ」で加熱する
鍋よりも手軽で焦げつく失敗もなく、少量・短時間で作りやすいのがメリット。サラッとしたソース状で、ヨーグルトやパンケーキにも合います。長時間煮ないために滅菌できない点には注意。賞味期限は冷蔵で1週間程度です。ただ、長期保存しない分だけ砂糖は他のレシピに比べて少なめでOK。糖度30%でも甘さは十分です。
材料
作り方
1 いちごは洗ってヘタを取り、大きいものは半分にカットする
2 耐熱ボウルにいちご、グラニュー糖、レモン汁を加えて混ぜ、20分おく
いちごから水分が出てくる。
3 いちごと水分をよく混ぜ合わせ、ふんわりとラップをかけて600Wの電子レンジで3分加熱する
4 アクを取り除いてふんわりとラップをかけ、電子レンジでさらに2分加熱する
5 できあがり
【いちごジャムのレシピ③】「冷凍いちご」を鍋で煮る
市販の冷凍いちごでも、旬のうちに自分で冷凍したいちごを使ってもOK。冷凍したいちごは細胞壁が壊れていて砂糖をまぶすとすぐに水分が出てくるので、スピーディに作れるのもメリットです。少量だと焦げ付きやすくなるので、いちごは250g以上で作るようにしましょう。
材料
いちごの冷凍方法
いちごを洗ってペーパータオルで水気を拭き取り、ヘタを取る。冷凍用保存袋に平らになるように入れて冷凍する(冷凍庫で3ヵ月程度保存可能)。
作り方
1 冷凍いちごを凍ったまま鍋に入れ、グラニュー糖とレモン汁を加えて混ぜる
2 弱火にかけ、ときどきかき混ぜて解凍しながら沸騰させる
3 さらに火を弱め、アクを取りながら15分ほど煮詰める
ふつふつと静かな沸騰が続く程度の火加減に。火が強いと焦げやすく、弱すぎるとアクが出ない。
4 いちごに透明感が出て、全体にとろみがついたら火を止める
ヘラでかき混ぜたときに鍋底が見えるようになったら、とろみの付いたサイン。
5 できあがり
いちごジャム作りで気になる、5つの疑問
材料のことや保存のことなど、気になる疑問についても、飯田先生に教えてもらいました。
Q1 【砂糖の量】はレシピより少なくしてもいい?
A 日持ちさせたいならレシピ通りに
ジャムの糖度(砂糖の重さ÷いちごの重さ×100)は60%が基本。腐敗の原因となる水分を減らし、果物に含まれているペクチンを作用させてとろみを付きやすくするためには糖度60%以上が必要だからです(60%以上なら常温未開封で6ヵ月保存可能)。砂糖を減らして作ることもできますが、糖度が低いほど日持ちは悪くなるので、早く食べ切るようにしましょう。
※作ったジャムを常温保存する場合には、糖度以外にも注意が必要です。記事末尾で紹介している保存方法と注意点を参照ください
Q2 【砂糖の種類】は好きなものに変えていい?
A グラニュー糖が最適だが、好みで変えてもOK
ジャムに最も向いているのはグラニュー糖。雑味のないスッキリした甘さで、果物の味や香りを邪魔しません。上白糖は甘みがやや強く感じられます。きび糖や三温糖はミネラル分が多く、コクのある優しい甘さ。独特の風味があり、いちごやりんごには合いますが、白桃にはあまり合いません。できあがりは若干くすんだ茶色になります。
Q3 いちごジャムに【レモン汁】は絶対必要?
A 入れた方がバランスのとれた味に
レモン汁なしでも作れますが、いちごは酸味が少ないので入れた方が酸味と甘味のバランスが取れて美味しくなります。また、レモン汁は果物のペクチンに作用してとろみを付きやすくする役割もあります。
Q4 ジャムを作るときは【アク取り】しないとダメ?
A 取った方がきれいに&美味しくなる
アクを取らないと、瓶に詰めたとき白く濁って見た目が悪くなってしまいます。雑味にもつながるので取った方がいいでしょう。
Q5 手作りジャムを長持ちさせる【保存のコツ】は?
A 熱湯消毒した瓶に詰める
長期保存する場合は、必ず熱湯消毒した瓶に詰めてください。煮沸消毒が一般的ですが、熱湯を回しかけるだけでも大丈夫。消毒した瓶を使えば常温保存が可能です(糖度60%以上のジャムに限ります)。
●正しいジャムの詰め方
- 瓶とふたを食器用洗剤でよく洗う。ザルに瓶とふたを入れてシンクに置き、沸騰した湯を瓶のふちまで満杯になるよう回しかける。
- トングで瓶とふたを取り出し、清潔なふきんやペーパータオルの上に瓶の口を下にして置き、水分を蒸発させる。
- 瓶が乾いたら熱いうちに、ジャムを瓶の口までいっぱいに詰めてふたを閉め、瓶を逆さに置いて冷ます(逆さに置くことで空気が入らなくなり、雑菌の繁殖を防げる)。
※常温で保存する場合は、特に以下のポイントに注意してください
・レシピの糖度と加熱時間を守る
・ふた、瓶のふちギリギリまでしっかり熱湯をかけて消毒する
・清潔なふきんやトングを使用する
・ジャムを瓶の口切りいっぱいまで入れて空気が入らないようにする