贅沢な秋の味覚「松茸」は、絶対に美味しくいただきたいものですよね。
「松茸の魅力をダイレクトに楽しむなら『焼き』がおすすめです」と話すのは「日本料理 太月」の望月英雄さん。今回は自宅でできる松茸の焼き方を料理人が徹底ガイド。松茸の豊かな香りと繊細な味わいを堪能しましょう。
絶対に失敗しない、焼き松茸の3ヵ条
①「中開き」の状態がベスト
松茸はかさの開き具合で、「開き」(かさが完全に開いた状態)や、「中開き」(適度に開いた状態)、「つぼみ」(かさがふくらみかけ)、「コロ」(かさが完全に閉じている)と呼び名が変わります。どの状態も美味しくいただけますが、「中開き」のものが香り豊かでやわらかいため、焼きに最適です。
②カットは最小限。裂きながら食べて香りを楽しむ
焼き松茸は、繊維が裂けるときに香りが立ちます。調理時のカットは最小限にし、裂きながら食べるといいでしょう。
③オーブントースターが最適
自宅で松茸を焼くならオーブントースターがベスト。専門店の炭火焼きに近い加熱ができるのでおすすめです。ガスコンロや魚焼きグリルは火力が強すぎるので避けましょう。
【松茸の焼き方】和の料理人が徹底解説!
「松茸の香りと絶妙な食感を楽しむなら『焼きたて』が必須です。食べる準備を整えつつ、調理をスタートしましょう」(望月さん)
【準備するもの】
- 松茸
- アルミホイル
- オーブントースター
1 松茸の汚れをこすり落とす
ボウルに水をはり、松茸に水を少しずつかけながら泥や汚れをこすり落とす。
■料理人のコツ
「松茸を水に浸すと香りや食感が損なわれてしまうので注意。『指で少しだけかける』ようにしましょう」(望月さん)
2 松茸の根元をそぎ落とす
松茸の根本の部分(石づき)はかたいため、鉛筆を削るように包丁でそぎ落とす。
■料理人のコツ
「包丁はステンレス製がおすすめ。鉄製の包丁を使うと松茸に鉄の香りが移ってしまいます」(望月さん)
3 かさに切れ目を入れ、半分に裂く
かさの部分に包丁で切り込みを入れ、手で2つに裂く。手で裂くことで繊維に沿って切り分けることができ、食感が損なわれない。
■料理人のコツ
「途中で折れないようにゆっくり裂くと、繊維が糸状になってきれいに残ります」(望月さん)
4 松茸のかさに、さらに切れ目を入れる
半分に裂いた松茸のかさに、さらに切り込みを入れる。
■料理人のコツ
「かさの部分は厚みがあって火が通りにくいので、切れ目を入れて火が入りやすくします」(望月さん)
5 塩を振り、水分が出てくるまで少し待つ
塩をひとつまみ、全体にふる。1分ほどで表面に水分が出てくる。
■料理人のコツ
「松茸にまんべんなく塩が付くように、30㎝ほどの高さから塩をふるといいでしょう。調味料入れから直接振る場合も同じです。また、水分は拭き取らずそのまま焼きましょう」(望月さん)
6 オーブントースターにアルミホイルを敷いて焼く
オーブントースター(1000W)にアルミホイルを敷き、庫内が温まるまで2~3分予熱する。松茸の断面を上にして入れ、5分ほど焼く。
※トースターの機種によって火力が異なるため、焼くときは目を離さないこと。
7 水分がたまってきたら焼き上がり
松茸を焼き始めて5分程すると、松茸から水が出てくる。アルミホイルに水がたまってきたら焼き上がりの合図。
■料理人のコツ
「写真のように、やや生に見えるくらいがベスト。焼き過ぎないように注意しましょう」(望月さん)
香りがすごい!プロ直伝の「焼き松茸」が完成
皿に盛りつけ、すだちなどの柑橘類を添える。(あれば)
熱いうちにかさの切れ目から裂くと、繊維の間から松茸の芳しい香りが上ります。瑞々しい繊維のシャキッとした歯ごたえがなんとも贅沢です!
【松茸の保存】湯通しして冷凍すれば香りをキープできる!
松茸は2日程度経つと香りが薄れてしまいます。すぐに食べないのなら冷凍保存がおすすめ。香りと食感をできるだけキープするために、ひと手間かけて冷凍しましょう。
【冷凍方法】
- 松茸は汚れを落とし、根元を削ぎ落とす。熱湯で30秒くらいさっと湯通しする。
- ざるに上げて粗熱をとる(5分程度)。水分が残っていたらキッチンペーパーで拭き取る。
- 金属トレイにのせて1時間ほど冷凍庫で冷やし、表面を凍らせる。
- 冷凍用保存袋に入れて空気を抜きながら口を閉じる(可能ならばストローで空気を吸い出す)。冷凍庫で約2週間保存可能。
【解凍方法】
常温に3分ほど置いて半解凍状態にし、縦に裂く、または縦に切ってから用途に合わせたサイズに切る。松茸は冷凍すると食感が変わってしまうため、焼き松茸よりも「松茸ごはん」や「すき焼き」などがおすすめ。
松茸ごはんの場合は、やや大きめの食べやすいサイズに。すき焼きの場合は他の具の大きさに合わせ、こちらもやや大きめにカットして使う。