料理が美味しくなる「理由」や「仕組み」を徹底的に解き明かした、“理論派”なレシピが人気の料理家・樋口直哉さん。今回は、ニチレイ『切れてる!サラダチキン』のポテンシャルを最大限に引き出すレシピを教えてもらいます。「美味しい理由」を知ることで、料理がもっと楽しくなるはずです!
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※『切れてる!サラダチキン』は販売を終了しております。
冷凍サラダチキンは「解凍」にこだわると、もっと美味しくなる
樋口さんに冷凍サラダチキンの美味しさを引き出す秘訣を教えてもらいました。
① 「素早い」解凍で、食材へのダメージを減らす
解凍に時間をかけると食材がダメージをうけるため、しっとりとやわらかな食感に仕上げるには、流水で素早く解凍するのがおすすめ。水は空気より熱が伝わりやすいので、自然解凍より流水解凍の方が早く解凍できます。解凍のスピードでいうと、凍ったまま加熱調理するのもおすすめです。
素早く解凍しないといけない理由は、冷凍食品の細胞の中にある氷の結晶が解凍時間とともに大きくなり、組織を壊してしまうから。冷凍に時間がかかっても氷の結晶が大きくなるため、冷凍食品は素材本来の美味しさを保てるように急速冷凍することで味や食感の変化を抑えています。
② 「水分と油分」を足してジューシーさをアップ
水分と油分を補って、ジューシーさをアップさせるのもサラダチキンを美味しく食べるコツ。スープの汁気や、油分を含んだたれなどをからめて、口に入れたときに肉と水分・油分が一緒になる状態を作ります。油が料理の国籍を決めるので、洋風ならオリーブ油、中華風ならごま油など、料理の種類で使い分けて。
③ 既存の調理法にとらわれない
サラダチキンといえば、解凍してそのままサラダとして食べることをイメージする人も多いのですが、片栗粉をまぶして、粉チーズを混ぜた溶き卵にくぐらせて焼けばピカタにもなり、香ばしさがプラスされて新鮮な美味しさが楽しめます。焼く・煮る・茹でる・蒸す・揚げるという5つの調理法で変化をつければ、さまざまな美味しさが引き出せて、活用頻度もぐっと上がります。
【サラダチキンレシピ①】さっぱり仕立てのよだれ鶏
人気の中華メニューを自宅で簡単に作れる! 流水解凍でしっとりやわらかく仕上げたサラダチキンを、ウーロン茶を使ったさっぱり風味のたれと青ネギを絡めていただく爽やかな一品です。
鶏肉を口に入れたときにジューシーさを感じられるよう、たれで油分と水分を補います。肉にたっぷりつけてもくどくならないよう、たれにはウーロン茶を入れてさっぱり味に。香辛料の刺激で唾液の分泌を促進するのも、サラダチキンをジューシーに感じさせるためのひと工夫。食べた後のたれに中華麺やそうめんを入れても美味しいですよ!
材料(2人分)
- 『切れてる!サラダチキン』…1/2袋(125g)
- 豆腐…1/2丁(1丁の厚さを半分に切ったもの)
- 青ネギ(小口切り)…大さじ1
A
- しょうゆ・酢・ウーロン茶…各大さじ2
- 砂糖・いりごま(白)…各大さじ1
- 食べるラー油(市販品)…大さじ1〜2
※さらに辛さを出すなら一味唐辛子や豆板醤、花山椒を適量加える。
作り方
- 『切れてる!サラダチキン』はジッパー付き保存袋に平らに入れ、空気を抜いて袋の口を閉じる。水を張ったボウルに袋ごと入れて、流水解凍する。
- 半分の厚さに切った豆腐を皿にのせ、その上にサラダチキンを並べる。Aを混ぜ合わせて作ったたれをかけ、青ネギを散らす。
サラダチキンは平らになるように袋の中に入れて、解凍ムラを防ぎます。少量でもいいので、水を流しっぱなしにして対流を促し、水温を一定にすることで解凍を早めます。この方法なら、1/2袋分を15~20分で解凍できます。
POINT
流水解凍中にサラダチキンを入れた保存袋が浮いてくるようなら、水を入れたペットボトル(500ml)で重しをして、保存袋全体が水に浸かるようにする。
【サラダチキンレシピ②】鶏ときのこの中華鍋仕立て
鶏胸肉ときのこの旨みがたっぷりしみ出た薬膳風鍋。サラダチキンは冷凍のまま鍋に入れるので、解凍の手間なし! 和風だしに八角とごま油を加えた風味豊かなスープが食欲をそそります。
サラダチキンは凍ったままの状態で熱い汁に入れて解凍すると、ふっくらとした食感になります。また、鶏胸肉は旨みが強いので、鍋に入れるといいだしが出るんです。今回は同じく旨み食材のきのこと合わせて、絶品だしの鍋に仕上げました。八角と七味唐辛子が効いた薬膳風味で食が進みます。
材料(2人分)
- 『切れてる!サラダチキン』…1/2袋(125g)
- えのきだけ…1パック(200g)
- 舞茸…1パック(100g)
- 水菜…1袋(200g)※ほうれん草や小松菜など青菜なら何でも可
- 七味唐辛子…大さじ1/4
- ごま油…大さじ1
- 八角…1個
A
- 水…800ml
- しょうゆ・みりん…各50ml
- 昆布(10cm角)…1枚
- かつお節…10g
作り方
- 鍋でだしを作る。鍋にAを入れ、中火にかける。沸騰したら弱火にして3分煮た後、ザルなどを使ってこしながら土鍋に注ぐ。
- ❶が少し冷めたところに七味唐辛子・ごま油・八角を入れ、えのきだけと舞茸を手で裂きながら加えて中火にかける。
- ❷が沸騰したら弱火にし、『切れてる!サラダチキン』を冷凍のまま入れる。水菜を加えたら、えのきだけと舞茸に火が通るまで1〜2分ほど加熱する。
きのこは、60〜70℃の汁に入れることで酵素の活性化が進み、旨みがアップ。サラダチキンが解凍されるまでにきのこにも火が通っているはずです。八角は、1個入れるだけで途端に本格中華の味に。頻繁に使う調味料ではありませんが、長期保存がきくので、ぜひ試してみてください!
冷凍食品を上手に使えば、料理がもっと楽しくなる!
合理的で緻密な料理を提案する樋口さんは、冷凍食品を使うことをどう考えているのでしょう。その答えから、忙しい中でも料理を楽しむヒントが見えてきました。
――『切れてる!サラダチキン』を使ってみたご感想は?
シンプルで優しい味付けなので、いろいろな料理に使えるのがいいですよね。例えば親子丼なら煮汁で加熱解凍するなど、使い方を覚えておくと、忙しい毎日の味方になりそうです。サラダチキンは自作すると火加減が難しいのですが、そこをプロに任せられるので安心。カットされているので楽ですし、短時間で解凍でき、その分美味しさが損なわれないのも魅力です。
――料理に冷凍食品を使うことをどう考えていますか?
冷凍食品は、「調理工程の一部をメーカーが代行してくれているもの」だと捉えています。例えば、『切れてる!サラダチキン』なら、鶏むね肉を蒸してカットするという工程をニチレイさんが済ませてくれているので、浮いた時間できちんとだしを取ってみたり、味付けにこだわってみたりといった、ひと手間を加えることもできるでしょう。
時短料理という言葉を耳にしますが、料理は自然の摂理に従うものなので、調理工程を省くことはできません。ですので、「調理工程の一部が完了済み」の冷凍食品を上手に使えたら、毎日の料理の幅が広がるように思います。
――忙しい中でも料理を楽しむ秘訣を教えてください。
仕事ではない料理をするときは、なるべく頭を使わずに作れるようにしています。たとえば、解凍は素早く行う、きのこは低温から調理するといった料理の原理原則を知り、調理中に迷わないようにすること。決まったことをすればいいだけなので楽ですし、料理上手にもなります。
ただし、ずっと同じやり方だと自分の味に飽きてくるので、たまには人のレシピを再現して、気分転換しています。また、サラダチキンや食べるラー油などの市販品を取り入れると、手軽に味のリフレッシュができて、料理が楽しくなるのでおすすめです。