山芋は、手がかゆくなったりヌルヌル滑ったりして調理が面倒。「使いみちはとろろや小鉢だけ」という人も多いでしょう。今回はそんな山芋を使いやすくする冷凍テクニックをご紹介。管理栄養士で野菜ソムリエ上級プロの岸村康代さんに教えていただきました。
※「山芋」は「ヤマノイモ科」のイモ類の総称。イチョウイモ、ツクネイモ、自然薯、長芋などが含まれます。ここでは入手しやすい長芋を使っていますが、その他の品種でも同様に冷凍や調理ができます。
山芋を手を汚さず使える冷凍法
面倒な山芋の皮むきやカットはまとめて済ませから、冷凍するのが正解。メニューの幅が広がる5つの切り方と冷凍方法を紹介します。解凍時に手が汚れないので、気軽に料理に使えますよ。
山芋の冷凍①【すりおろし】1食分で使えるとろろに
まとめてすりおろし、1回量ずつ冷凍するだけ。市販の冷凍とろろのように流水解凍できて便利です。金属製のおろし器でおろすと山芋が変色することがあるので、あればプラスチック製のものを使いましょう。
【冷凍方法】
- 山芋の皮をむき、おろし器ですりおろす。変色予防に酢を数滴よく混ぜ合わせる。
- Sサイズの冷凍用保存袋に1食分ずつ入れる。
- 空気を抜くように袋の口を閉じて冷凍する。冷凍庫で1カ月程度保存可能。
【解凍方法】
Sサイズの袋に保存した場合は、袋ごと流水解凍する。多めに保存した場合は、冷蔵庫解凍するか、電子レンジ解凍する。
生食する場合は、解凍後すぐにとろろそばや麦とろごはん、和え物などに。袋の下の角をハサミで切って絞り出すとラク。
山芋の冷凍②【叩いて潰す】粗おろしの食感に
すりおろすより手軽な冷凍方法。粗くおろしたとろろのような、歯ざわりが残る食感を楽しめます。
【冷凍方法】
- 山芋の皮をむき、適当な大きさに切る。
- 1食分ずつSサイズの冷凍用保存袋に入れる。
- 袋が破れないように気をつけながら袋の上から麺棒で叩いて、好みのなめらかさになるまで潰す。変色予防に酢を数滴よく混ぜ合わせる。
❹ 空気を抜くように袋の口を閉じて冷凍する。冷凍庫で1カ月程度保存可能。
【解凍方法】
Sサイズの袋に保存した場合は、袋ごと流水解凍する。多めに保存した場合は、冷蔵庫解凍するか、電子レンジ解凍する。生食する場合は、解凍後すぐにごはんにかけたり、納豆にまぜたりして食べる。
山芋の冷凍③【千切り】ちょい足しに使える
歯ざわりは冷凍前と多少変わりますが、冷蔵庫なら低温でゆっくり解凍されるのでシャキシャキ感が残せます。電子レンジで短時間で解凍するとやわらかめに。
【冷凍方法】
- 山芋の皮をむき、長さ5cm、幅5mm〜1cmくらいの千切りにする。
- 酢水(水1Lに対して酢大さじ2)に10分つけてアクを抜き、変色を防止する。
- ペーパータオルで水気を拭き取り、使いやすい量で小分けにし、ラップで包む。
- 冷凍用保存袋に入れて口を閉じ、冷凍する。冷凍庫で1カ月程度保存可能。
【解凍方法】
凍ったまま鍋やフライパンに入れ、味噌汁やスープ、炒めものなどに。生食する場合は、ラップのまま冷蔵庫で自然解凍し、解凍後すぐにサラダや小鉢に使う。
山芋の冷凍④【乱切り】加熱でねっとり食感に
煮物や揚げ物にすると、ねっとり(品種によってはホクホク)した食感に。冷凍することで火の通りが早く、味もしみこみやすくなります。
【冷凍方法】
- 山芋の皮をむき、乱切りにする。
- 酢水(水1Lに対して酢大さじ2)に10分つけてアクを抜き、変色を防止する。
- 水気をペーパータオルで拭き取る。冷凍用保存袋に入れ、空気を抜くように袋の口を閉じて冷凍する。
- 3~4時間経ったら取り出し、手早く袋の上からバラバラにほぐして再び冷凍庫に入れる。冷凍庫で1カ月程度保存可能。
【解凍方法】
凍ったまま鍋やフライパンに投入して加熱調理。素揚げして軽く塩をふれば、おやつやビールのおつまみに。肉じゃがのじゃがいもの代わりに使うと、煮崩れしにくく、ねっとりとした山芋ならではの食感が楽しめる。
山芋の冷凍⑤【輪切り】山芋ステーキが簡単に
凍ったままフライパンで焼くだけでOK。山芋の細い部分は小さめになるので、ハンバーグなどのつけ合わせにもぴったり。
【冷凍方法】
- 山芋の皮をむき、1cm程度の輪切りにする。
- 酢水(水1Lに対して酢大さじ2)に10分つけてアクを抜き、変色を防止する。
- 水気をペーパータオルで拭き取り、重ならないように冷凍用保存袋に入れる。空気を抜くように袋の口を閉じて冷凍する。冷凍庫で1カ月程度保存可能。
【解凍方法】
凍ったまま鍋やフライパンに入れて加熱調理する。油をひいたフライパンで焼き、塩こしょうをふれば山芋ステーキに。バターと醤油で味付けするのもおすすめ。
【豆知識】山芋の皮むきテク&手がかゆくなる場合の対処法
皮をむくときは、水の中でピーラーを使うとヌルヌル滑らなくてラク。皮をむいたらペーパータオルなどで水分とぬめりをしっかり拭き取りましょう。手がかゆくなる人は、小皿に酢を用意して、ときどき手にたっぷりつけながら調理するのがおすすめです。