余りがちな天ぷらは、1食分ずつ冷凍保存しておくとすぐに使えて便利です。解凍後も衣のサクサク感をキープできる、冷凍・解凍のテクニックを料理研究家の吉田瑞子先生に教えてもらいました。記事後半では、冷凍しても美味しい天ぷら作りのコツも解説します。
【天ぷらの冷凍方法】粗熱と油をしっかりとってサクサク感キープ
余分な油や水分を天ぷらに残さないことが、美味しく冷凍するポイント。1食分ずつ冷凍すると使い勝手も抜群です。
1 油をよく切ってキッチンペーパーにのせ、常温で粗熱をとる
油が酸化すると風味が悪くなるため、キッチンペーパーを使って余分な油を吸い取る。また、熱いまま冷凍すると急激な温度変化で結露が発生し衣が水分を含んでしまうので、粗熱がとれるまで常温で冷ますか急ぐ場合はうちわなどであおぐ。触ってみて熱くなければOK。
2 1枚ずつキッチンペーパーで包み、さらにラップでぴったりと包む
キッチンペーパーで包み、冷凍や解凍の過程で出てくる余分な油や水分を吸い取る。1食分ずつラップで包んでおくと解凍するときにも使いやすい。
POINT
キッチンペーパーは厚手のものを使用すると衣が貼り付きにくいのでおすすめ。
3 冷凍用保存袋に入れ、密封して急速冷凍
密封して酸化を防ぐ。金属製のバットにのせて急速冷凍する(冷凍で約1ヵ月保存可能)。
【天ぷらの解凍】レンジ解凍はNG!揚げたて復活テクニック
電子レンジで解凍するとサクサク感が失われてしまうので、冷蔵庫でゆっくりと解凍してからオーブントースターで加熱しましょう。中までしっかりと温まり、揚げたてのサクサク感もよみがえります。
1 冷蔵庫で自然解凍する
天ぷらをキッチンペーパー+ラップで包んだまま冷蔵庫に入れる。約30分で解凍できる(かき揚げ1個の場合)。
POINT
あらかじめ冷蔵庫で解凍しておくと、美味しさを逃しにくく加熱時間の時短にもなる。冷蔵庫で自然解凍せず、すぐに加熱したい場合は2のオーブントースターの加熱時間を調整する。
2 シワをつけたアルミホイルに天ぷらをのせ、オーブントースターで加熱する
包んでいたラップやキッチンペーパーは外し、シワをつけたアルミホイルの上に天ぷらをのせ、200度のオーブントースターで約2分加熱する(かき揚げ1個の場合)。焦げないように様子をみながら、表面がカリッとするまで温める。
POINT
アルミホイルにシワをつけておくと、余分な油が落ちやすくなる。1の自然解凍をせずすぐに加熱したい場合は、天ぷらの上にもアルミホイルをかぶせて焦げを防ぎ、200度のオーブントースターで約5分温める(かき揚げ1個の場合)。
【冷凍しても美味しい天ぷら】レシピ・食材・揚げ方のコツ
衣の作り方や食材の選び方、揚げ方など、冷凍しても美味しさがキープできる天ぷら作りのコツを先生に教えてもらいました。
【コツ1】重曹+冷水で衣がサクサクに!
小麦粉100gに対して重曹(またはベーキングパウダー)小さじ1/4を入れ、さらに冷水を使うと揚げたときに衣がふわっと広がり、解凍後もサクサク感が復活しやすくなります。また、市販の天ぷら粉を使えば重曹を入れなくても良く、失敗しにくくなります。
【コツ2】水分の多い食材を避ける
玉ねぎ・ゴーヤなどの水分が多い食材は、解凍後の食感が悪くなるので冷凍保存には不向き。また、じゃがいもなどの冷凍に向かない食材も味や食感が落ちるので避けたほうが良いでしょう。
【コツ3】かき揚げは、食材に小麦粉をまぶしておくと◎
かき揚げの食材は、衣と和える前に小麦粉をまんべんなくまぶしておきましょう。衣がよく絡んでまとまりやすくなり、解凍後も衣が剥がれにくくなります。冷凍する際の具材は水分が比較的少ない定番のにんじん、ごぼう、長ねぎ、えびなどがおすすめです。またミックスベジタブルなどを使っても手軽で美味しく仕上がります。
【コツ4】かき揚げの厚さは、薄めにすると解凍しやすい
かき揚げは大きいと解凍するときに中まで温まりにくくなるので、具と衣の量を少なめにして薄めに作ると良いでしょう。かき揚げ以外の天ぷらも具材を少し小さめに切ると解凍しやすくなります。
【コツ5】衣の水分をしっかりと飛ばして
揚げる際は具材にしっかりと火を通しましょう。仕上げに少し強火にすると衣の水分が飛び、冷凍・解凍後もサクサク感が残ります。また、天ぷらは油の温度を一定に保つのが美味しく揚げるコツ。厚手の揚げ鍋を使うと温度をコントロールしやすくなります。
【番外編】揚げ玉も捨てずに冷凍すれば、使い勝手抜群
天ぷらを作るときにできる揚げ玉も、冷凍しておくと便利(揚げ玉は、天ぷらを作るときに散らばった衣をすくうか、余った衣を箸や指につけて揚げ油に落として揚げて作ります)。油を切ったあとにキッチンペーパーでしっかりと油を吸いとり、冷凍用保存袋に入れて冷凍しましょう。たぬきうどんやお好み焼きの具などに、解凍せずにそのまま使えます。