家庭で多めに作ることの多いカレー。まとめて作って冷凍しておくという方も多いメニューですが、冷凍時につきまとうのが、保存容器へのニオイや色うつりなどのお悩み。解凍時にも、レンジで温めると加熱ムラができる、保存袋が溶けてしまうなど、挙げだすとキリがないほど不便がいろいろ……。
一体どの方法で保存したらいいの? という疑問に応えるべく、フードコーディネーターの若子みな美さんにカレーのベストな冷凍保存方法を教えてもらいました。あわせて、カレーの冷凍時や解凍時のお悩みについてもお答えします。
【プロのおすすめ】カレーの冷凍は「保存容器にラップ」が正解!
ラップを敷くことで、汚れとニオイうつりを防止!
カレーの冷凍保存にはさまざまな方法がありますが、若子さんがおすすめするのは、プラスチック製の密閉保存容器にラップを敷いてカレーを入れる方法。ニオイや色がつきにくい材質の容器を選ぶことも可能ですが、「入手しやすく、どの家庭にもあるプラスチック製を使うのが手軽」なんだそう。
容器にラップを敷くことで汚れがつかず、ニオイうつりも予防できます。ニオイは完全にゼロにはならないものの、他の食材を入れて使い回せる程度には和らげられるそう。また、解凍時には容器からカレーを取り出してから加熱するのもポイント。直接カレーを入れた保存容器ごと解凍する方法もありますが、それも汚れがこびりついたりニオイがうつったりする原因に。食卓に出す皿(耐熱タイプ)に、冷凍カレーを取り出してから加熱するとそのまま食べられてラクです。
容器にニオイがつきにくい、カレーの冷凍方法
保存容器にラップを敷いてカレーを入れたら、カレーをラップで包むようにしてから保存を。カレーが凍った状態であれば、ラップは簡単にはがすことができます。
【おすすめのプラスチック容器】
- 冷凍可能なもの
- 1食分ずつ小分けにしやすい、MかSサイズ(深さは3cm〜7cm程度)
- 重ねやすい四角いタイプ
【冷凍方法】
- 密閉保存容器にラップを敷く(ラップはカレーの上部にもかぶせるため、容器よりもふたまわりほど大きめにカットする)。
- 粗熱をとったカレーを1人分ずつ、容器の8割程度を目安に入れ、ラップで包むようにまとめてから、ふたをして冷凍する(カレーの表面にもラップをかぶせることで、ふたへの汚れやニオイうつりを防ぐ)。
※ カレーは容器いっぱいに入れると冷凍時に膨張して容器が破損する可能性があるので、8割程度を目安にしましょう
【解凍方法】
- カレーだけを耐熱皿に移してラップをかけ、電子レンジで加熱する。
※ 加熱のコツや加熱時間の目安については、こちらの項目をチェック
【豆知識】保存袋より、保存容器の方が節電効果が期待できる!?
保存容器は保存袋に比べるとかさばりますが、カレーの入れやすさ、取り出しやすさなどを考えるとおすすめです。また、冷凍庫内はパンパンに詰めた方がお互いの食材が保冷効果を発揮するため(ただし冷気が出る穴はふさがない)、節電効果が期待できるという利点もあります。
【カレーの冷凍Q&A】みんなの悩みをプロが解決!
気になる容器へのニオイや色うつり、具材の食感が変わる、加熱ムラができるなど…カレーの冷凍にまつわるさまざまな疑問や不便を解決! 気になる項目からチェックしてみてください。
Q.容器にニオイや色がついてしまう…。
Q.保存袋で冷凍したカレーをレンジで加熱すると、袋が溶けてしまう…。
Q.冷凍すると具材の食感が変わってしまう…。
Q.電子レンジで加熱すると、どうしても加熱ムラが…。
Q.「まとめて冷凍」と「小分け冷凍」、どちらが美味しく保存できる?
Q.容器にニオイや色がついてしまう…。
A.ホーロー、または耐熱ガラス製の容器ならニオイや着色を避けられます。
プロのおすすめはプラスチック製容器にラップを敷く方法ですが、容器へのニオイうつりを完全に避けたい場合は、ホーローや耐熱ガラス製の保存容器がおすすめです。いずれも本来は冷蔵保存向きの容器ですが、冷凍も可能。ガラス製は必ず耐熱タイプを選びましょう。1食分ずつ入れられる小さめのサイズだとなお便利です。カレーを入れて使用した後、水に浸け置きしておくだけで汚れが浮き上がるので、お手入れしやすい点もメリット。
【冷凍方法】
- 耐熱ガラス、またはホーロー製の密閉保存容器の8割程度を目安にカレーを入れる。ふたがプラスチック製の場合はカレーの表面にぴったりとラップをかけてからふたをする(ふたへのニオイや色うつりを避けるため)。
- 急速冷凍し、凍ったら保存容器どうしを重ねて保存する。
【解凍方法】
- 耐熱ガラス製容器の場合、ふたが電子レンジ対応でない場合は取り外し、代わりにラップをしてから電子レンジで加熱する。
- ホーロー製容器の場合、直火にかけて解凍する。
※ホーローは電子レンジでの加熱ができないため、電子レンジでの使用は避け、必ず直火にかけて解凍してください。
※電子レンジでの加熱のコツや加熱時間の目安については、こちらの項目をチェック
Q.保存袋で冷凍したカレーをレンジで加熱すると、袋が溶けてしまう…。
A.保存袋をそのまま加熱はNG! 耐熱皿に中身を移してから加熱しましょう。
冷凍用密閉保存袋でカレーを冷凍した場合は、中身を耐熱皿に移してから電子レンジ加熱を。一度に大量に加熱せず、1食分ずつ解凍するのがムラなく温めるコツです。また、湯せんで解凍する方法もありますが、コツが必要です(詳しくは下記で紹介)。
【解凍方法】
- カレーを保存袋ごと1〜2分程度流水にあてる。
- カレーの表面がゆるんできたら、袋を開け、手で押し出すようにして1食分ずつ耐熱皿に移す。
- ラップをかけ、1食分につき500Wの電子レンジで約2分間加熱する。
- 全体をよく混ぜ、足りない場合は30秒〜1分程度ずつ追加で加熱する。
※ 電子レンジでの加熱のコツについては、こちらの項目をチェック
【湯せんで温める場合】
湯せん可能なタイプの保存袋の場合は、湯せんでも温められます。ただし、湯を煮立たせながら温めたり、鍋肌に保存袋が触れたりすると破れる可能性があるため、注意が必要です。
- 鍋に、鍋底より一回り小さい耐熱の平皿を沈めて火にかけ、沸騰したら火を止める。
- 鍋に冷凍したカレーを保存袋ごと入れ、鍋肌に触れないように菜箸で袋をつまんで鍋底の皿に置き、そのまま5分程度温める。
※ 必ずカレーの中心まで完全に温めてください。お湯がぬるくなった場合は袋を一度取り出し、再度沸騰させてから、同じ行程を繰り返してください。
Q.冷凍すると具材の食感が変わってしまう…。
A.具材には冷凍の向き不向きがあるため、冷凍向きのカレーを作るのがおすすめ。
カレーを冷凍する際は、冷凍前にじゃがいもなどの野菜を潰すのが一般的な方法として知られていますが、事前に冷凍することがわかっている場合は、冷凍向きの具材でカレーを作るのが美味しく、手間もなくおすすめです。作れるカレーの種類が制限されるように感じるかもしれませんが、アレンジしやすいので料理の幅も広がります。
【冷凍カレーのおすすめ1】キーマカレー
冷凍しても食感が変わりにくい「挽き肉」や「玉ねぎのみじん切り」がメインのキーマカレー。具材が小さくソースのように使えるので、ドリア、グラタン、トースト、パスタなど汎用性バツグンです。
【冷凍カレーのおすすめ2】具材の少ないカレー
肉1種類に、食感が変わりにくい野菜を1〜2種類を組み合わせた、具材の種類を絞ったカレー。例えば、チキン×トマト、ポーク×なすとピーマン、ビーフ&玉ねぎなどの組み合わせです。食感が変わりやすいじゃがいもやにんじんは避けましょう。トマトやほうれん草などをじっくり煮込んでルウになじませるという手もあります。野菜をたっぷりとりたい場合は、食べるときに温野菜を添えて。
Q.電子レンジで加熱すると、どうしても加熱ムラが…。
A.小刻みに加熱しながら、その都度全体をかき混ぜましょう。
冷凍したカレーを電子レンジで加熱する際は、状態をよく見ながら小刻みに加熱することが加熱ムラを防ぐコツ。加熱したら全体をかき混ぜてみて、凍っているかたい部分があったり、外側は水っぽいのに全体的にかたかったりする場合は加熱ムラが生じている可能性が。追加で加熱⇒かき混ぜる、を繰り返します。カレーは油分が多く加熱時に分離しやすい料理ですが、かき混ぜながら温めることで加熱ムラだけでなく、分離も防ぐことができます。
【解凍方法】
- 電子レンジがフラットタイプの場合は中央に、ターンテーブルタイプの場合はテーブルのふちに冷凍したカレーを置く。
※ 電子レンジ加熱できない容器や保存袋を使って冷凍した場合は、耐熱皿に移してラップをかける。 - 500Wで2分ずつ小刻みに加熱し、その都度全体を軽くかき混ぜる。
Q.「まとめて冷凍」と「小分け冷凍」、どちらが美味しく保存できる?
A.1食分ずつ小分けにして冷凍保存、がベストです!
まとめて冷凍する方が小分けにする手間がないぶん簡単に思えますが、全体が凍るまでに時間がかかるうえ、解凍後に使いきれずに余らせてしまう場合も。そのため、1食分ずつ小分けで冷凍した方が、美味しく便利です。
※カレーを作り置きする際には、常温保存すると食中毒等の汚染リスクが高まります。常温保存は避け、すぐに食べきるか、新鮮なうちに冷凍保存をしましょう。