栗は味が落ちやすく、中に虫がいるとすぐにダメになってしまい、保存が難しいですよね。旬の美味しさを長期間キープするなら「皮のままゆでて冷凍」が大正解。野菜ソムリエプロの根本早苗先生が、栗の冷凍テクニックを解説します。冷凍した栗は鬼皮・渋皮がするりとむけて便利ですよ!
「皮のままゆでて冷凍」がおすすめな理由
①味・食感が損なわれない
栗は冷凍しても味、食感が変わりにくいです。
②3ヵ月も長持ち
品質を保ったままで3ヵ月も保存できます。
③皮がむきやすくなる
解凍すると鬼皮(外側の皮)がやわらかくなり、渋皮(内側の皮)と実の間に隙間ができるため、皮むきがラクちんです。
【栗の冷凍】下ゆでして甘さアップ
保存前に虫除けと下ゆでを行います。少し時間がかかりますが、丁寧な処理が必須です。
1 栗を水に1時間浸ける
ボウルに栗とたっぷりの水を入れて1時間ほど浸ける。この工程で栗の中の虫を追い出す。
■ 市販品以外の栗は半日浸ける
栗拾いで入手したものなど「市販品以外」の栗は、中に虫がいる可能性が高くなる。水に浸ける時間を半日に延ばすとより安心。
2 弱火で50分ゆでる
鍋に栗を入れ、ひたひたに浸かるくらいの水を入れて中火にかける。沸騰前の“ふつふつ”とした泡が出てきたら弱火にして、そのまま50分ほどゆでる。弱火でじっくりゆでることで栗の甘みが増す。途中で水が減ってきたら注ぎ足すこと。
■ アクは必ず取り除くこと
浮いてくるアクはえぐみの元。しっかりと取り除く。
3 ザルにあげて粗熱をとり、水気を拭く
栗をザルにあげて粗熱をとり、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
■ 冷凍せずそのまま調理する場合は、ゆで汁ごと冷ます
冷凍せずそのまま使う場合は、ゆで汁を捨てずに鍋のままゆっくり冷ます(約3時間)。
その後、下記【栗の解凍/皮のむき方】と同じ手順で皮をむく。
4 冷凍用保存袋に入れて保存する
栗を冷凍用保存袋に重ならないように並べて入れる。口を閉じ、冷凍庫で保存する。約3ヵ月保存可能。
【栗の解凍/皮のむき方】
凍った栗を解凍すると、鬼皮と渋皮を簡単にむくことができます。「実」は崩れやすいので、やさしくむきましょう。
1 常温で30分解凍する
栗を冷凍庫から出して皿に広げ、常温に30分ほど置いて解凍する。室温によって解凍速度が変わるため、暑い時期などは5分ごとに様子を見るとよい。触って鬼皮がやわらかくなっていたらOK。
2 お尻に包丁で切り込みを入れる
栗の水気を拭き取り、お尻の部分に包丁のあご(刃元の角)で切り込みを入れる。
3 包丁を引っかけて皮をむく
切れ目に包丁を入れ、栗の頭の方向にゆっくりと引っぱって皮をむく。
皮をむいたあとは加熱料理に使うほか、そのまま食べてもOK。
■ 渋皮を残す場合は、常温10分解凍でOK
渋皮を残して調理する場合は、解凍時間を10分程度に短縮。お尻に入れる切り込みを浅くすると、鬼皮だけをむくことができる。
【栗の冷蔵】チルド室がおすすめ
栗は水に1時間ほど浸けて虫を除く。水気を拭き取り、保存袋に入れて冷蔵庫のチルド室で保存する。1ヵ月程度保存可能。
【栗の活用レシピ】渋皮煮など!
冷凍栗の活用レシピをご紹介。秋の味覚がいつでも味わえます。
※チルド室保存の栗を使う場合は、50分ゆでて鍋のまま冷ましてから使う。
「栗ごはん」炊きたてごはんに混ぜるだけ
- 炊飯器に米2合、塩小さじ1、酒大さじ1/2を加え、2合目盛りまで水を入れる。白米と同じように炊飯する。
- 冷凍栗8個を解凍し、皮をむく。
- 炊き上がったごはんに❷を入れ、炊飯器のふたをして10分ほど蒸らし、全体を混ぜ合わせる。
「栗きんとん」栗だけの素朴な甘み
- 冷凍栗8個を解凍し、皮をむく。
- 鍋に❶と砂糖50g、水100mlを入れて火にかける。弱火で10分程度練りながら煮る。
「栗の渋皮煮」手間暇かけて、栗の風味を凝縮
- 冷凍栗8個を10分常温解凍して鬼皮だけをむく。
- 鍋に❶とたっぷりの水、重曹小さじ1を入れて、弱火で10分煮る。
- ❷の栗をボウルに取り、水に浸けると2~3分で皮がふやけて筋が浮いてくる。水に浸けたまま爪楊枝などを使って、栗を傷つけないように筋を取り除く。❷、❸を3回ほど繰り返し、筋をきれいに取り除く。鍋の湯は毎回捨てる。
- 鍋に❸の栗、かぶるくらいの水を入れ、5分ゆでて湯を捨てる。
- 鍋に❹の栗、かぶるくらいの水、砂糖30gを入れて5分煮る。さらに砂糖30gを加えて溶かし、キッチンペーパーで落としぶたをして弱火で20分程度煮詰める。鍋に入れたまま冷ます。