しじみを食べたら「ジャリッ」と砂が出てイヤな気分に…。そんな憂鬱を回避するべく、本場である宍道湖のしじみ店・大竹屋さんに、上手な砂抜きテクニックを教えてもらいました。絶品味噌汁の簡単レシピと、3ヵ月もつ冷凍保存法も紹介!
「しじみの砂抜き」ガイド
時短の砂抜き法もありますが、確実に砂を抜くために大切なポイントは、
・塩水をたっぷり使う
・3〜5時間かけて、ゆっくり砂抜きする
の2つ。さらに、水から出して3時間程度放置すると旨みがアップ。つまり、食べる6時間ほど前に砂抜きを始めるのがベストです!
【準備するもの】
- しじみ
- バット※
- バットに入る大きさのザル※
- 水
- 塩(水1Lあたり塩3gを入れ、0.3%の塩水を作る)
※ここではバットとザルを使って説明しますが、ない場合はボウルとザルでも可能です。
1 バットの中にザルを置き、しじみが重ならないように並べる
しじみ同士が重なると、上のしじみが吐き出した砂を下のしじみが吸ってしまうのでNG。口をあけたまま触っても殻を閉じないものや、腐ったような匂いがするものは取り除く。
2 しじみがしっかり浸るように塩水をたっぷり入れる
たっぷり水があると、吐いた砂がとどまらず下に落ちやすくなる。ザルを使ってバットの底からしじみを離すと、吐き出した砂や分泌液を吸い込むことを防げる。
3 常温で3〜5時間おいたら砂抜き完了
夏は3〜4時間、冬は4〜5時間が目安。夏で室温が高いときは冷蔵庫に入れる。振動で口を閉じることがあるので揺らさないこと。しじみが吐く水で周囲が濡れることがあるので、ザルや新聞紙などをかぶせておくとよい。(以前は、新聞紙をかぶせて暗くするといいと言われていたが、明るさによる砂吐きの差はあまりない)
砂抜きが完了したところ。バットの底に砂が溜まっている。すぐに食べる場合は、しじみをよく洗ってから調理する。旨みを増やしてから食べたい場合は、次の工程へ。
4 水を捨て、濡れ布巾をかけて3時間程度おき、旨みを増やす
バットの塩水と砂を捨て、再度ザルとしじみをセットする。しじみがバットの底につかない状態で、濡れ布巾をかぶせてしじみが乾かないようにして放置すると旨みがアップ。夏場は冷蔵庫に入れる。3時間程度おいたら、そのまま調理に使える。
【豆知識】水から出しておくと旨みがアップする理由
しじみ、はまぐり、あさりなどの二枚貝は、水がない環境では体内のグリコーゲンを燃焼させてエネルギーを得ますが、このときに旨み成分(コハク酸など)を多く生み出します。この代謝により、数時間空中放置している間に旨みが増えると言われています。
冷凍すると旨みがアップ!
砂抜きしたしじみはそのままおくと弱ってしまうので、すぐに食べない場合は冷凍保存を。しじみを冷凍するとグルタミン酸、アラニン、オルニチンなどの旨み成分がさらに増加するそうなので一石二鳥です。
【冷凍・解凍方法】
1回使用分ずつ冷凍用保存袋に入れ、袋の口を閉じて金属製のバットの上で冷凍する。冷凍庫で3ヵ月程度保存可能。使用するときは解凍せず、必ず凍ったまま料理に加えて加熱する。
【プロの味】しじみの味噌汁レシピ
この機会に、しじみを使った味噌汁の作り方をおさらい。しじみから旨みが出るので、だしの用意が必要なく簡単です。酒を入れることで身がふっくらします。
材料(2人分)
- しじみ…200g(砂抜き済み)
- 水…300ml
- 酒…大さじ2~3
- 味噌…大さじ1と1/3
材料(2人分)
- 鍋にしじみと水、酒を入れ、中火にかける。
- 沸騰したらすぐ弱火にし、アクをとる。
※火にかけてしばらくするとしじみが開き、水が白く濁りはじめます。これはしじみの旨み成分が出たものなので、問題ありません。 - 味噌をとき入れ、火を止める。
※参考文献:「しじみ学入門」(中村幹夫著 ・2018年 山陰中央新報社)
調理協力:松村眞由子