季節感を大切にしたシンプルな料理が人気の料理家・ワタナベマキさん。連載第1話目ではニチレイの冷凍野菜を使ったおもてなしレシピを考案していただきました。2話目となる今回はワタナベさんの家事・料理観についてインタビュー。お仕事や子育てで多忙なのにもかかわらず、自然で丁寧な暮らしを実践できるその理由とは?
似ているようで全く違う「手抜き」と「簡単」
まずは、ワタナベさんに冷凍野菜を使った感想を伺いました。冷凍食品をあまり使うことがないというワタナベさんでしたが、実際に使ってみると意外な驚きや発見があったようです。
――今回、実際に冷凍野菜を使ってみていかがでしたか?
きのこなどはよくセルフ冷凍していたのですが、コーンやほうれん草は自分で冷凍すると生に比べて味や栄養価が落ちてしまうイメージの野菜でした。でも今回使わせてもらった、ニチレイさんの冷凍ほうれん草は、生と同じように野菜本来の味がしっかり残っていると感じました。下ゆでしてあるので料理に使うのもとっても簡単。
――ワタナベさんも「簡単」さを重要視されるのですね!
私は「手抜き」と「簡単」って全く違う言葉だと思っているんです。手抜きって大げさに言うなら買ってきたお惣菜をパックのまま出すようなこと。でも、たとえお惣菜でも「どう美味しく食べようか」を考えて、少しだけ、簡単なことでいいからひと手間を加えることが大切だと思うんです。それは料理をするときも同じで、例えば魚の切り身なら塩をしてキッチンペーパーで拭くのはひと手間のこだわり、そうすればソテーするだけでも美味しくなる。ほんのちょっとの手間にこだわることが、時間のない中でも簡単に美味しいごはんを楽しむことにつながるんです。
――その考え方にはどのようにたどり着いたのでしょうか?
子どもが生まれてからですね。子育てと仕事をうまく両立しようとすると、やはり時間がなくて苦労しました。撮影が終わってから夜ごはんの準備を一から始めるのはなかなか難しい。だから朝食の準備をしながら夜ごはん用のお肉をしょうゆにつけておくとか、できる範囲で「手間」を見つけていきました。
冷凍野菜は「手間」を「簡単」にしてくれるアイテム
――「手抜き」と「簡単」は違うというワタナベさん。料理を美味しくする手間を簡単にするためなら、冷凍野菜を使うことも手段のひとつだといいます。
「手抜き」と「手間」の話をしましたが、私は「冷凍食品」を使うことだって「手抜き」じゃないと思うんです。たとえば料理にほうれん草を入れるとき、ゆでるのが面倒でそのまま使うことで美味しくなくなってしまう……それは手抜きかもしれない。でも、すでに下ゆでされている冷凍野菜を活用して簡単に美味しい料理を作ることは、私はむしろ賢い方法だと思う。既製品に「頼る」ことは「ひと手間」の代わりになるんです。
今回使ったナスも揚げた状態で冷凍されているのに感動しました。ちょっと煮込んだりするだけですごく美味しい料理になるので、これからも個人的に使っていきたいですね。トマト煮とか麻婆茄子とかもすぐ作れていいかもしれない。冷凍野菜って旬に関係なく安定して手に入るし、かさばらないから生野菜よりもたくさん使えるのがうれしいですよね。
「やりすぎ」は家事の落とし穴、頑張りすぎないで
美味しい料理に大切な「ひと手間」。それは必ずしも時間をかけなくていいし、冷凍野菜などに頼るのもアリと教えてくれたワタナベさん。そこには「料理を頑張りすぎないで」というメッセージがありました。
一生懸命になりすぎると疲れちゃうから、「やりすぎない」ことが大切です。例えば作り置きなら一度に作るのは1~2種類にとどめたり、シンプルな料理を覚えてみたり。旬の野菜と豚肉を塩で炒めただけでも十分美味しいですから。忙しいときは具だくさんの味噌汁と白ごはんだけでもいい。家事を「頑張ろう」「ちゃんとしなきゃ」と思っている人が多いけれど、頑張りすぎなくていいんです。できる範囲での「ひと手間」を見つけていきましょう。
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