料理研究家の吉田瑞子先生が、野菜の皮やヘタ、芯などを使った美味しい野菜だしの作り方を解説します。野菜くずが出るたびに冷凍ストックしておいて、まとめて煮出すことで「ごみ」として捨てるはずだった部位を有効活用! 野菜だしを使った、旨みあふれるレシピアイデアもご紹介します。
「野菜だし」を美味しく仕上げるコツ4つ
【コツ1】甘みが出る野菜を選ぶ
にんじんやたまねぎの皮、しいたけの軸などは甘みが出やすいのでおすすめ。にんにくは香りが強すぎるので避けましょう。
【コツ2】野菜をミックスすると、奥深い味に
野菜くずは野菜の種類が多いほど美味しく仕上がり、野菜を5種類以上使うと味にぐっと深みが出ます。
【コツ3】皮・ヘタ・種などいろいろな部位で、風味豊かに
野菜くずを集めるときは、皮ばかりではなく、ヘタや種など複数の部位を使うのもポイント。部位が多いほど風味がアップ。
【コツ4】冷凍することで、旨みが出やすくなる
野菜くずは冷凍することで細胞が壊れるため、成分がだしに溶け出しやすくなります。
【野菜くずの準備】必要量の約300gを貯める
2000mlの野菜だしを取るのに、必要な野菜くずの量は約300g(下記参照)。しかし、一度にこれだけの量の野菜くずが出ることは少ないので、冷凍して少しずつ貯めていくのがおすすめです。
野菜くず約300g(冷凍用保存袋Mサイズ1袋分)の目安
- にんじん皮とヘタ…3本分(約60g)
- 玉ねぎの皮と頭…3個分(約20g)
- キャベツの芯…1個分(約110g)
- しいたけの軸…4本分(約10g)
- ネギの青い部分…1本分(約30g)
- パプリカの種とヘタ…3個分(約70g)
【冷凍方法】
1 野菜くずは出るたびに冷凍用保存袋へ追加
Mサイズ(横17cm×縦19㎝)程度の冷凍用保存袋を用意。そこに野菜の皮やヘタ、種など野菜くずが出るたびに追加しながら冷凍する。入れるときに、汚れは水洗いで落として軽く水けを拭き取っておく。大きさは揃えなくてOK。空気はできるだけしっかり抜いてから冷凍庫へ。
2 冷凍保存期間は約1ヵ月
冷凍用保存袋がいっぱいに貯まるまで、まとめて冷凍しておく。冷凍保存期間は最初に貯めはじめたところから数えて約1ヵ月。
【野菜だしのとり方】野菜くずは冷凍のまま煮出してOK
1 野菜くずを弱火で煮出す
鍋で水2000mlを沸騰させたら、凍ったままの野菜くず(Mサイズの冷凍用保存袋にいっぱいになる程度・約300g)を入れる。再び沸騰させ、弱火でじっくり約20分煮出す。
2 野菜くずをこす
ざるとボウルを用意する。粗熱がとれたら野菜くずをこし、だしを取り出す。
野菜の風味と旨みをしっかり感じられる、野菜だしの完成。すぐに使わない場合は、ボトル状の容器に入れて冷蔵する。保存期間は約2~3日。
【野菜だしの活用方法①】水菜と豚のしゃぶしゃぶ
野菜だしが水菜と豚肉にしっかり染みこむので、野菜の旨みや甘みを堪能できるしゃぶしゃぶ。
材料(2人分)
- 豚しゃぶ用薄切り肉…200g
- 水菜…1束
- 野菜だし…4カップ(800ml)
- しゃぶしゃぶ用ごまだれ(市販)…適量
作り方
- 水菜は約3~5cmに切り、豚しゃぶ用薄切り肉とともに盛り合わせる。
- 野菜だしを鍋で沸騰させ、❶を適量ずつゆでる。ゆでたらしゃぶしゃぶ用ごまだれにつけていただく。
※鍋の〆は雑炊にすると、野菜だしの旨みを最後まで堪能できるのでおすすめ。
【野菜だしの活用方法②】にんじんと油揚げの炊き込みごはん
野菜だしの旨みと甘みが、より一層凝縮されるのが炊き込みご飯。具材をたくさん使わなくても、味に深みが出ます。
材料(2人分)
- 米…2合
- 油揚げ…1枚
- にんじん…80g
A
- 野菜だし…適量(2合の目盛りに合わせる)
- 酒…大さじ2
- しょうゆ…小さじ2
- みりん…小さじ2
- 塩…小さじ2/3
作り方
- 米は洗ってザルにあげておく。
- 油揚げ、にんじんを1cm角に切る。
- 炊飯器に❶を入れ、Aを加えて炊く。