SENIOR INTERVIEW
中国から高品質の冷凍野菜を。安定供給のカギは
「人と人」のつながり
日冷企業管理諮詢(上海)有限公司
髙橋 優太
- 2009
- 新卒で入社後、森工場の製造グループに所属。
- 2012
- 森工場の開発チームにて、新ラインの立ち上げプロジェクトの統括を担う。
- 2014
- 海外調達部の海外工場管理グループへ。
投資工場やほかのOEM工場を担当。
- 2016
- 商品調達部の調理品グループに異動。
海外工場のトラブル管理や開発支援を担当。
- 2017
- 農産調達部の農産調達グループに異動。
タイ、エクアドルからの調達や、工場の新ライン立ち上げプロジェクトを担当。
- 2020
- 日冷企業管理諮詢(上海)有限公司に赴任し、農産品部長を務める。
相手の信頼を得るために
年に200日以上現地に出張
――現在、髙橋さんは中国に駐在されているそうですね。現地でのお仕事内容を教えてください。
髙橋:入社11年目に中国駐在となり、現地子会社である日冷企業管理諮詢(上海)有限公司の農産品部長として、部内のメンバーと協力しながら冷凍野菜の製造監督、品質管理、新商品開発や、商品の仕入れや納品をしてもらう新規サプライヤーの開拓支援を行っています。
簡単に言えば、既に商品になっている冷凍野菜の品質を維持して安定供給すること、そして新しい商品になる可能性があるものを開拓することの2つが、今の主な業務になりますね。
――以前から海外勤務を希望していたのですか?
髙橋:いいえ、全く(笑)。初めて海外に行ったのは新婚旅行のハワイでしたし、そのあとも本社の海外工場管理部門にいたときに、何度か出張で訪れただけ。まさか自分が海外勤務になるとは入社した頃は想像もしていませんでした。ですが、海外工場管理部門で主に鶏肉製品の海外投資工場や生産委託工場の製造指導、新商品の納期管理などの仕事を経験して、海外の現場をもっと知りたいという思いが強くなっていた時期だったので、これはチャンスだなと。
――初めての海外駐在で、慣れないことも多いのでは?
髙橋:年200日以上出張し、取引先である農家さんに会ったり、農場の環境確認や審査、工場の加工や包装立ち合いによる品質維持管理などを行っています。農家さんと食事をしたりなど、直接顔を合わせてコミュニケーションをとることが、ここではとても重要。たとえば、ある野菜が不作になったとします。商品の安定供給は、私たちの大事な仕事の1つですから、そうなれば違う地域の農家さんにお願いするなど方法を模索しなければなりません。そんなとき、顔を合わせたことがあるか、一緒に食事をしたことがあるかということが、中国の野菜調達ではとても大きな意味を持ちます。一緒に高品質な商品をつくり上げていくうえで、ぐんと連携が測りやすくなるんです。こちらでは会社名では人は動かない。「人と人の関係」が大切なんです。
出張中は慣れない食事に胃腸の調子が悪くなることもあるので、中国漢方の胃腸薬を携行しています。出されたものは出来る限り断りません。以前セミを出されたことがありましたが、意外とおいしかったですよ。胃腸薬の中身はよくわかりませんし、飲み方を間違えて現地の人に笑われたこともありますが、何とか元気にやっています(笑)。
言葉よりも大切なのは
相手を理解しようとする気持ち
――現在の業務のやりがいをどのように感じていますか?
髙橋:冷凍野菜という商材を通じて、ニチレイフーズの7つの基本価値(健康、楽しさ、簡単・便利、おいしさ、安全・安心、安定供給、リーズナブルな価格)をお客様にお届けできていることにやりがいを感じています。使用する農薬の種類や量、ニチレイフーズが定めている基準をしっかりと満たしているかどうかなど、農場から包装出荷まで細かなケアは欠かせません。自信をもって安全・安心でおいしい冷凍野菜を安定的に出荷することの大切さを感じながら、日々業務にあたっています。
また加工度が低く、ベーシックな商品である冷凍野菜という事業は、ビジネスモデルや商品価値がわかりやすいところも楽しいですね。その分天候や国際情勢の影響を受けやすく、実際に天候不順で「商品が全く手に入らないかもしれない……」と青ざめたこともありますが。自分たちで課題の解決方法を考えたり、将来の新しい価値につながる商品を提案するなど、実感が得やすいところも大変気に入っています。
――日本で働いていたときと比較して、違いを感じていることはありますか?
髙橋:中国では経済やインフラ発展のスピードが日本とはケタ違い。工場の周りがいつの間にか高層マンション群になっていたり、新しい高速鉄道路線があっという間に完成していたりします。それだけに現地企業の成長機会も多く、挑戦に対する敷居が低い傾向にあると感じています。私たち日本の食品企業よりも、新しい挑戦に対する判断や「誰に何をいくらで売るのか」と決めるまでが、ものすごく早い。文化の違いというよりは、置かれている環境の違いを感じる機会が多いです。
それでも全てを相手のやり方に合わせることはできませんから、スピード感は大事にしつつも、私たちの事業環境やリスク管理を理解してもらい、歩調を合わせることが大切だと思っています。
――言葉の壁はどのように乗り越えているのですか?
髙橋:全く中国語を話せないまま赴任し、現地の語学学校へ入学しましたが、出張が多くて思うように通えていません。それでも顔と顔を合わせれば、何とかなるもの。契約などの大事な話は通訳を介しますが、食事の席などで相手が言いたいことは通訳ナシでもなんとなく理解できます。大事なのは正しい発音や文法などではなくて、相手を理解しようとする気持ち。相手に「この人は私たちに好感を持っている、私たちを理解しようとしている」という風に思ってもらえれば、たいていのことは乗り越えられます。でもそれは、海外だからというより、日本での日本人同士でのコミュニケーションでも大切なことではないでしょうか。
思い込みを捨てて偶然の
チャンスや出会いを楽しんで!
――髙橋さんが中国駐在の間に、チャレンジしたいことは?
髙橋:新しい冷凍野菜の商品提案を少なくとも1つは成功させたいですね。中国で「これはいい!」と思った野菜を見つけると、収穫時期にサンプルをつくって送り、日本の取引先に紹介してもらいます。もし、そこで商談がまとまったとしても実際に商品になるまでには、翌年以降の収穫時期を待つことに。長期的なプロジェクトになりますが、駐在中に何とか形にしたいです。
日本のマーケットから離れたところから提案をしているため、どうしてもニーズをつかみきれないこともあります。なかなか簡単ではありませんが、新商品の実現は私の中国での使命だと思っています。日本の関連部署の人たちと連携して、どんな商品ならニーズがあるのかを細かく確認しながら、実現に向けて一歩ずつ努力を重ねているところです。
――商品化まで長い期間を要するとなると、どのようにしてモチベーションを維持しているのでしょうか?
髙橋:実際に商品になるところまではいっていませんが、日本に紹介した商品は既にいくつかあります。その際に、「こういう提案をこれからも続けてほしい」「商品化まではいかなかったけど、すごく良かったよ」など、調達担当や関連部署のみなさんがかけてくれる言葉が励みになっています。また、離れていても、日本から応援してくれる同僚の存在も大きな力になりますね。
――最後に就活生へのアドバイスをお願いします。
髙橋:「石の上にも3年」という言葉がありますが、勉強や仕事でうまくいかないことがあったとき、あきらめずにその環境で頑張るのか、それとも早めに切り上げて次の目標に向けて頑張るのか。私はどちらを選んでも正解だと思っています。私自身、10年以上のキャリアの中でいくつかの部署を経験し、モチベーションが高かったときもあれば、どうしても奮起できないような時期もありました。結果を残せず、苦しく悔しい日々を経験したことも。ただ、その仕事ではあまり大きな花は咲かせられなかったけれど、自分にとっては良い勉強の時間だったと思いますし、その経験は今確実に役立っています。
でも、私の場合はそうだったというだけで、全員に「石の上にも3年だよ」と伝えたいわけでは決してありません。人それぞれ性格やタイプが違うし、早く切り替えて次に進んだ方が合っている人もいるでしょうから、はっきり言ってどっちでもいいと思うんです。大事なのは「こうでなければいけない」という思い込みを捨てること。細かいことは気にせず、就職活動でも仕事でも、偶然の出会いやチャンスを楽しんでほしいと思っています。
※掲載の仕事内容、所属は取材当時のものです。
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