家庭用事業部 家庭用商品グループ 藤井 宏之 家庭用事業部 家庭用商品グループ 藤井 宏之

CAREER INTERVIEW

異国の地で乗り越えた壁が
大きな糧に
スペシャリストに必要なのは
食への探求心

家庭用事業部 家庭用商品グループ

藤井 宏之

2002
新卒で入社し、主に商品開発業務に携わる。
2010
コロッケ関連で特許出願、取得。
2015
海外チキン商品開発担当となる。
2017
『特から®』発売に携わり、ヒット商品となる。
2020
現部署に異動。商品開発の全体統括を担う。
家庭用事業部 家庭用商品グループ 藤井 宏之
家庭用事業部 家庭用商品グループ 藤井 宏之

コロッケ開発で得た
達成感をきっかけに
商品開発のスペシャリストを決意

――現在、家庭用事業部の家庭用商品グループで、主に海外チキンを担当しながら新商品統括を担う藤井さん。新卒でニチレイフーズ(当時ニチレイ)への入社を決めた理由は何でしたか?

藤井:ニチレイフーズなら、自分がやりたかった「食品の商品開発」という仕事に深く携われると確信できたからです。もともと私は小さい頃から料理が好きで、いつかは食品に携わる仕事がしたいと考えていました。大学院では食品成分がヒトの体に与える効果や機能について研究していたこともあり、就職活動では食品メーカーや製薬メーカーを志望していました。ありがたいことにニチレイフーズを含めた複数社から内定をいただき、どこに入社しようか悩んでいたんです。

そんなとき、ニチレイフーズの人事の方から電話をいただきました。正直に会社を決めかねていると伝えたところ、「商品開発がしたいなら、多様な冷凍食品に携われるニチレイフーズに来た方がいい!」と熱く誘ってもらえて。ニチレイフーズの商品開発への熱量を感じ、入社を決意しました。入社後は1年目からピラフや春巻、コロッケ、メンチカツ、唐揚げなど様々な商品開発を経験できたので、当時の決断は正しかったと今でも思っています。

――ニチレイフーズの商品開発は、どのような仕事なのでしょうか?

藤井:商品開発は、まず有名店の食べ歩き、買い回りを実施してイメージを膨らませます。そして実際に手を動かして料理するところから始まります。たとえば「ジューシーな唐揚げをつくる」というプロジェクトが動き出したとしたら、まず鶏肉を買ってきて、切って、味をつけて、衣をつけて揚げる……つまり自分で唐揚げをつくってみるんです。その際は大量の鶏肉を用意し、味や食感を変えて様々なパターンの唐揚げを試作します。

――最初は料理から始まるのですね!

藤井:こうしてつくりたい唐揚げのイメージが定まったら、次はスケールアップのテストをします。そして実際の工場の生産ラインで再現できるかどうかのテストに移ります。場合によっては、自分でつくった味を再現するために、工場の機械装置をイチから開発しなければならないことも。そのため、短いものでも商品開発には半年以上かかりますね。商品が完成したら、他部署と連携しながらパッケージなどをつくり、最終的に販売されるまでには1年ほどかかるのが一般的です。

――藤井さんは入社してから現在まで一貫して商品開発に携わっていますが、「スペシャリストとして働く」キャリアはいつ頃から意識していましたか?

藤井:コロッケの商品開発の主担当として、試作から生産ラインの開発までの「入り口から出口まで」をやり切ったときに意識するようになりました。コロッケは2005年から6年ほど担当したんですが、原料の勉強から、自分で生み出した技術を特許申請・取得することまで、コロッケ開発におけるほぼ全ての仕事を経験でき、大きな達成感を得られました。

そして「コロッケだけでなく、全部のカテゴリーの商品開発を極めたい!」と思い、冷凍食品のあらゆるカテゴリーを熟知したスペシャリストを目指そうと考え始めましたね。

家庭用事業部 家庭用商品グループ 藤井 宏之 家庭用事業部 家庭用商品グループ 藤井 宏之
家庭用事業部 家庭用商品グループ 藤井 宏之
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『特から®』開発秘話
異国の地で乗り越えた
いくつもの壁

――商品開発のスペシャリストとして18年のキャリアを重ねてきた中で、最も印象深かった仕事は何でしたか?

藤井:『特から®』の開発です。『特から®』は日本でもっとも売れている冷凍唐揚げ(※)で、ニチレイフーズのヒット商品ですが、この開発に主担当として携わりました。

ただ、開発では大変だったこともたくさんあって……。『特から®』はタイの工場で生産することになっていたのですが、国内で基本スペックを完成させるのも苦労しました。国内でOKが出た後も、現地工場での本番稼働に向けたテストでいくつもの高い壁にぶつかりました。まず苦労したのは言葉の壁。現地でのコミュニケーションは英語・タイ語がメインなので、コミュニケーションを取るのも一苦労でした。

さらに、日本でつくったときと同じ原料とレシピでつくってみても、同じ味、食感を再現できず……何度もテストしました。しかも最終生産テスト期間は2週間しかないのに、最初の1週間が過ぎても思うような結果が出ない状況で、焦りが大きくなっていました。

※インテージSRI+冷凍調理からあげ市場(2018年3月~2022年3月)累計販売金額

――どのようにして工場テストを成功させたのですか?

藤井:その週末、バンコクのハンバーガー店で1週間分のデータを振り返っていたんです。なぜうまくいかなかったのか、何度もテスト結果の数字を見比べていました。そのときふと、失敗の理由について直感的なひらめきが湧いたんです。この考えを確かめたいと思い、すぐに現地の工場メンバーに電話をかけたところ、土曜にもかかわらず連絡がついて。彼も私の仮説に納得したようで、興奮のあまり電話口でガッツポーズをしたのを鮮明に覚えています。

翌週、仮説は見事に当たってようやく生産が軌道に乗り始めました。そしてなんとか2週間以内に本番稼働の目処がつき、さらに、販売戦略もハマって『特から®』はヒット商品になったんです。でも、もっとも印象に残っているのは、ハンバーガー店で仮説を思いついたあの瞬間のこと。解決のヒントが降りてきたときの充実感は、例えようもなく大きかったですね。

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常に食への探求心を持つ
スペシャリストの仕事への姿勢

――商品開発の仕事で「スペシャリスト」になるには、どんなことが求められますか?

藤井:私は3つのことが求められると思います。1つ目は、「頭で考え過ぎず、まずモノをつくって議論すること」です。商品開発の仕事においては、仮説だけで議論を進めるのと、実物を目の前にして議論するのとでは、導き出せる考察の質が全く変わってきます。まずは手を動かしてつくってみるということが大事ですね。

2つ目は、「主観性と客観性のバランス」です。相手に想いを伝えるためには情熱をもって主張を伝える主観性が必要ですが、総合的に判断する際には1歩引いた客観性が必要です。このバランスが良ければ良いほど、良いものをつくることができ、そして情熱をもって商品を売ることができると思います。

3つ目は「万物の原理について興味を持つこと」です。お店でおいしい味付けや食感に出会ったとき、私はいつも「なぜこうなっているのか」を考えるようにしているんです。この原理が理解できれば、商品開発への応用ができます。ものごとの裏側の仕組みを追求する好奇心はとても重要だと思っています。

――では、藤井さんは商品開発の仕事に携わってきたなかで、どんなことを意識していますか?

藤井:「常に新しい提案をし続けること」ですね。自分でゼロからアイデアを生み出すのは至難の業ですから、「これとこれを組み合わせよう」といった働きかけをすることが必要です。そのためには常にアンテナを張ってインプットを多くすることが重要ですので、たくさんの情報を収集できるように、日々ネットの情報やSNSなどもチェックしています。おじさんですがTikTokも見ています(笑)

――商品開発の仕事では料理が得意であることも重要になりますか?

藤井:これは何とも言えないというのが正直なところです。料理が得意であれば、スピーディーに試作品をつくることができるというメリットはあると思います。そういう意味では料理のスキルが活きる場面は多いかもしれません。

ただ、それに加えて、商品開発では「工場での生産ラインに落とし込む」という作業も求められます。商品開発担当の先輩で、料理がそこまで得意ではない方がいるのですが、機械の知識に長けていて、生産ラインに落とし込むスキルはずば抜けて高いです。料理が得意なことは大事ですが、生産ラインへの理解の深さも同じくらい重要なので、人によって得意技は違っていて良いと思いますね。

――藤井さんが今後、仕事で挑戦していきたいことを教えてください!

藤井:競合する各メーカーが、今ある冷凍食品売り場のシェアを奪い合うのではなく、連携して冷凍食品業界全体を盛り上げられるような仕事をしてみたいと考えています。

私はプロ野球が好きなんですが、プロ野球の世界はライバル同士、競争しながら互いを高め合っているところがすごいなと思っていて。そんなプロ野球のように、冷凍食品メーカー同士がたとえば「ハンバーグ対決」みたいなことをしてみたら、業界全体が盛り上がるんじゃないか……と夢想しているんです。メーカー同士でお互いをもっと高め合うような取り組みにチャレンジしてみたいですね。

※掲載の仕事内容、所属は取材当時のものです。

SCHEDULE

とある1日のスケジュール

07:15
07:15

出社&メール確認

10:00
10:00

検食

朝から食べます

13:00
13:00

部内ミーティング

14:00
14:00

商品開発打合せ

17:00
17:00

タイ工場進捗確認ミーティング

タイは2時間の時差あり

19:00
19:00

市場調査

食べ歩き&買い回り

ENTRY

ニチレイフーズはチームワークあふれる
社会を作る仲間を募集しています。

SENIOR INTERVIEW

ニチレイフーズに入社を決めた理由や、働く中で感じるやりがい、失敗から学んだこと。
社会人として日々奮闘している今、学生さんたちに伝えたいメッセージとは。
ニチレイフーズの様々な部署で活躍する先輩社員20人に語ってもらいました。